滑空比を向上させる調整法

紙飛行機は理屈じゃない、調整が全てとも言えるが、一応結果的には理に合った状態で飛行している筈です。そこで少しは理にかなった調整法も有るのでは無いかと考えて、色々テストしてみた。
結果は次ぎの様なことでしたが、参考になるでしょうか?

旋回上昇法、垂直上昇法の何れをするにしても、限られた空域(広場)で飛ばすには、旋回させる必要が
あります、旋回半径は小さい方がサーマルに乗り易い(サーマルから離脱しない)、しかし、あまり小さいとスクロールダウンを起こしやすくなる。

実際の飛行機ではエルロン、ラダーなどでカウンターコントロールをしてスパイラルダウンの増加を
抑えるが、紙飛行機では出来ない。そこで紙飛行機特有の調整法として、主翼と
尾翼の関係を利用して、
上反角の配分を水平尾翼に対して均等にしないで、僅かにアンバランスにする、紙飛行機では尾翼の
揚力も利用しているので、これは有効な方法です。

旋回させる為に、旋回の外側になる主翼の後端(エルロン)を下げ、揚力を高める方法を使う方が多いの
ですが、この場合常に旋回外側の揚力が大きいので、旋回すると外側の主翼は内側の主翼より僅かに早い
速度になるため、更に揚力が増えてバンクを更に大きくする。
結果、上反角で補えない揚力差を生じてスパイラルダウン(ひどい場合はスパイラルダイブ)に陥る。

以上は、滑空比を向上させるのでは無く、旋回で生じる滑空比の低下を少なくする手法です。
紙飛行機(グライダー)では、進行動力が無いので重力を利用して降下する力を進行する力に変えています、従って飛ぶためには地面に向かって落ちてこなくてはなりません。
この落ちてくる角度を滑空角と言いますが、この滑空角を緩やかにする事が沈下率を向上させることに成ります。紙飛行機はこの滑空角に対して僅かに上向きの姿勢で飛びます。

この時の紙飛行機と滑空角の作る角度を迎え角と呼びますが、迎え角と沈下率の間には、一般に、迎え角が
小さいと沈下率が大きく、迎え角を増やして行くと沈下率は向上するが,ある点を境に再び沈下率が増える。最も沈下率の少ない点は、約5度程度と思われる(目視観測で定かではない)この最良点を見つけるには、
飛行している機体を横から観察して、飛行線に対して機体がどのような姿勢であるかを観察する,
殆ど同じ様なら、やや上向きになる様に重心位置を後方にずらす、或いは水平尾翼の後端(エレベーター)を上げて調整する。
結果として、垂直上昇法では大きな宙返り現象になり、充分な高度を稼げない場合も起きる。
特に主/尾翼取付角が「0−0」の場合は、水平尾翼はあくまでも水平である状態で、適切な迎え角を
得られるように、重心位置を細かく調整する必要がある。

そのためには、小さな錘を準備しておいて、実際の飛行状態を見ながら加減するのが便利です。
また、仲間のY田さんの様に、主翼の取付を両面テープで変更できる様にするのも良いでしょう(Y田式)

適切な重心位置でない機体を、尾翼の調整だけで調整しようと試みている方が結構多く見られますが、
決して良い方法とは言えません。

その機体の適切な重心位置は、同時に作った同一設計の機体でも僅かな違いがある(この辺が紙飛行機の難しさと面白さでもあります)から、一つ一つ丹念に調整する必要がある。
ただ、沈下率を向上させた結果、安定性が悪くなるケースが良く見られる。これを改良するには、
尾翼の面積を増やす、モーメント比を大きくするなど、設計から見直す必要も発生すします。