賃貸住宅管理業者登録規程第16条の規定に基づき「賃貸住宅管理業務処理準則」が平成23年9月30日に告示されました。平成23年12月1日施行されます。
この準則のポイントは、賃貸住宅管理業者の事前の重要事項説明、契約書の記載内容と書面交付の義務化及び財産の分別管理の義務化があげられます。
賃貸住宅管理業務処理準則
賃貸住宅管理業者登録規程(平成23年国土交通省告示第998号)第16条の規定に基づき、賃貸住宅管理業務処理準則を次のように定める。
平成23年9月30日
(業務処理の原則)
第1条 賃貸住宅管理業者は、信義を旨とし、誠実にその業務を行わなければならない。
(証明書の携帯等)
第2条 賃貸住宅管理業者は、使用人その他の従業者に、その従業者であることを証する証明書を
携帯させなければ、その者をその業務に従事させてはならない。
2 賃貸住宅管理業者の使用人その他の従業者は、その業務を行うに際し、賃借人等その他の関
係者から請求があったときは、前項の証明書を提示しなければならない。
(禁止行為)
第3条 賃貸住宅管理業者は、その業務に関して、次に掲げる行為をしてはならない。
一 賃借人等に対し、虚偽のことを告げ、不確実な事項について断定的判断を提供し、又は確実で
あると誤認させるおそれのあることを告げる行為
二 賃貸人に対し、賃貸人から管理事務の委託を受けることを内容とする契約(以下「管理受託契
約」という。)及び賃貸住宅管理業者が賃貸住宅を転貸するために自らを賃借人とする賃貸借契約の内容のうち重要な事項を告げない行為
三 前各号に掲げるもののほか、偽りその他不正又は著しく不当な行為
(誇大広告の禁止等)
第4条 賃貸住宅管理業者は、その業務に対して広告又は勧誘をするときは、管理事務に要する費
用その他の管理事務の内容及び自らを賃借人とする場合の賃貸借契約の内容について、著しく事実に相違する表示若しくは説明をし、又は実際のものよりも著しく有利であると人を誤認させるような表示若しくは説明をしてはならない。
(賃貸人に対する管理受託契約に関する重要事項の説明等)
第5条 賃貸住宅管理業者は、管理受託契約を締結しようとするときは、その契約が成立するまで
の間に、当該賃貸人に対して、管理受託契約の内容及びその履行に関する事項に関し、少なくとも次に掲げる事項を記載した書面を交付して説明しなければならない。
一 賃貸住宅管理業者の商号又は名称、登録番号及び登録年月日
二 管理事務の対象となる賃貸住宅の所在地に関する事項
三 管理事務の対象となる賃貸住宅の部分に関する事項
四 管理事務の内容及び実施方法(第16条の規定により管理する財産の管理方法を含む。)
五 管理事務に要する費用並びにその支払の時期及び方法
六 契約期間に関する事項
七 管理事務の再委託に関する事項
八 免責に関する事項
九 契約の更新に関する事項
十 契約の解除に関する事項
(賃貸人に対する管理受託契約の成立時の書面の交付)
第6条 賃貸住宅管理業者は、管理受託契約を締結したときは、当該賃貸人に対し、遅滞なく、次に
掲げる事項を記載した書面を交付しなければならない。
一 賃貸住宅管理業者の商号又は名称
二 管理事務の対象となる賃貸住宅の部分
三 管理事務の内容及び実施方法(第16条の規定により管理する財産の管理方法を含む。)
四 管理事務に要する費用並びにその支払の時期及び方法
五 契約期間に関する事項
六 管理事務の再委託に関する定めがあるときは、その内容
七 免責に関する定めがあるときは、その内容
八 契約の更新に関する定めがあるときは、その内容
九 契約の解除に関する定めがあるときは、その内容
(賃借人に対する管理受託契約に関する書面の交付等)
第7条 賃貸住宅管理業者は、管理受託契約を締結したときは、遅滞なく、次に掲げる事項を記載し
た書面を作成しなければならない。これらの事項に変更があったときも、同様とする。
一 前条第一号から第三号までに掲げる事項
二 事務所の電話番号その他の連絡先等
2 賃貸住宅管理業者は、次のいずれかに該当するときは、当該賃貸住宅の賃借人に対し、遅滞な
く、前項に規定する書面を交付しなければならない。
一 管理受託契約を既に締結している賃貸住宅について新たに賃貸借契約が締結されたとき。
二 賃貸借契約が既に締結されている賃貸住宅について新たに管理受託契約を締結したとき。
3 賃貸住宅管理業者は、第一項各号に掲げる事項に重要な変更があったときは、賃借人に対し、
当該変更の内容を周知するための必要な措置をとらなければならない。
(転貸の場合の賃貸人に対する賃貸借契約に関する重要事項の説明等)
第8条 賃貸住宅管理業者は、賃貸住宅を転貸するために自らを賃貸人とする賃貸借契約を締結し
ようとするときは、その賃貸借契約が成立するまでの間に賃貸人となろうとする者に対して、少なくとも次に掲げる事項について、これらの事項を記載した書面を交付して説明しなければならない。
一 宅地建物取引業法(昭和27年法律第176号)第35条第1項第7号まで並びに宅地建物取引業
法施行規則(昭和32年建設省令第12号)第16条の4の3第7号、第8号及び第10号から第12号までに掲げる事項
二 第5条第4号に掲げる事項
三 転貸の条件等に関する事項
四 当該契約が終了した場合における転貸人の地位の承継に関する事項
(転貸の場合の賃貸人に対する賃貸借契約の成立時の書面の交付)
第9条 賃貸住宅管理業者は、賃貸住宅を転貸するために自らを賃借人とする賃貸借契約を締結し
たときは、当該賃貸人に対し、遅滞なく、次に掲げる事項を記載した書面を交付しなければならない
。
一 宅地建物取引業法第37条第2項各号に掲げる事項(同項の規定の適用がある場合を除く。)
二 第6条第3号に掲げる事項
三 転貸の条件等に関する定めがあるときは、その内容
四 当該契約が終了した場合における転貸人の地位の承継に関する定めがあるときは、その内容
(転貸の場合の賃借人に対する賃貸借契約に関する重要事項の説明等)
第10条 賃貸住宅管理業者は、賃借した賃貸住宅について自らを賃貸人とする賃貸借契約を締結し
ようとするときは、その賃貸借契約が成立するまでの間に、賃借人になろうとする者に対し、少なくとも宅地建物取引業法第35条第1項各号に掲げる事項について、これらの事項を記載した書面を交付して説明しなければならない。ただし、同項の規定の適用がある場合は、この限りではない。
(転貸の場合の賃借人に対する賃貸借契約の成立時の書面の交付)
第11条 賃貸住宅管理業者は、賃借した賃貸住宅について自らを賃貸人とする賃貸借契約を締結し
たときは、当該賃借人に対し、遅滞なく、次に掲げる事項を記載した書面を交付しなければならない
。
一 宅地建物取引業第37条第2項各号に掲げる事項(同項の規定の適用がある場合を除く。)
二 第6条第3号に掲げる事項及び事務所の電話番号その他の連絡先等
(賃借人に対する賃貸借契約の更新時における書面の交付)
第12条 賃貸住宅管理業者は、管理受託契約(賃貸借契約の更新に係る事務を受託している場合に
限る。)の対象となる賃貸住宅に係る賃貸借契約又は自らを賃貸人とする賃貸借契約が更新されたときは、当該賃借人に対し、遅滞なく、次に掲げる事項について、これらの事項を記載した書面を交付しなければならない。
一 当該賃貸借契約の更新後の期間
二 更新後の家賃の額並びにその支払の時期及び方法
三 家賃以外の金銭の授受に関する定めがあるときは、その額並びに当該金銭の授受の時期及び
目的
(賃借人に対する賃貸借契約の終了時における書面の交付等)
第13条 賃貸住宅管理業者は、管理受託契約(賃貸借契約の終了に係る事務を受託している場合に
限る。)の対象となる賃貸住宅に係る賃貸借契約又は自らを賃貸人とする賃貸借契約が終了する場合において、当該賃借人に対し当該契約の終了に伴う債務の額を提示しようとするときは、当該額の算定の基礎について記載した書面を交付しなければならない。
2 賃貸住宅管理業者は、前項の規定より書面を交付した後において、賃借人から、当該額の算定
の基礎について説明を求められたときは、当該説明を求められた事項を説明しなければならない。
(管理事務の再委託)
第14条 賃貸住宅管理業者は、管理受託契約に管理事務の再委託に関する事項を定めた場合には
、管理事務を他の者に再委託することができる。
2 賃貸住宅管理業者は、基幹事務については、これを一括した他の者に委託してはならない。
3 賃貸住宅管理業者は、管理事務を再委託する場合には、再委託を受けた者が、この準則の定め
るところによりその業務を行うよう努めなければならない。
(賃貸借契約に基づかない金銭を賃借人から受領したときの通知)
第15条 賃貸住宅管理業者は、その業務(賃貸人として行う業務を除く。)を行うに当たり、賃借人か
ら賃貸借契約に定めのない金銭その他の財産を受領したときは、当該賃貸住宅の賃貸人に対し、その旨を通知しなければならない。
(財産の分別管理)
第16条 賃貸住宅管理業者は、その受領する家賃等については、整然と管理する方法により、自己
の固有財産及び他の賃貸人の財産と分別して管理しなければならない。
(管理事務の報告)
第17条 賃貸住宅管理業者は、定期に管理受託契約又は賃貸借契約を締結した賃貸人に対し、当
該管理事務に関する報告をしなければならない。
(管理受託契約終了の通知)
第18条 賃貸住宅管理業者は、管理受託契約の終了その他の事由により管理事務が終了したとき
は、遅滞なく、当該賃貸住宅の賃借人に対し、その旨を通知しなければならない。
(帳簿の作成等)
第19条 賃貸住宅管理業者は、その業務について、事務所ごとに帳簿を作成し、これを保存しなけれ
ばならない。
(書類の閲覧)
第20条 賃貸住宅管理業者は、賃貸住宅管理業者登録規程第8条の報告に係る書面をその事務所
ごとに備え置き、賃借人等の求めに応じ、これを閲覧させなければならない。
(秘密の保持)
第21条 賃貸住宅管理業者は、正当な理由なく、その業務に関して知り得た秘密を漏らしてはならな
い。賃貸住宅管理業者でなくなった後においても、同様とする。
(従業者の研修)
第22条 賃貸住宅管理業者は、その従業者に対し、管理事務の適切な処理を図るため必要な研修を
受けさせるよう努めなければならない。
附 則
(施行期日)
第1条 この告示は、賃貸住宅管理業者登録規程の施行の日から施行する。
(経過措置)
第2条 第6条及び第7条の規定は、賃貸住宅管理業者が賃貸住宅管理業者登録規程第3条第1
項の登録を受ける前に締結した管理受託契約について、適用しない。
2 第9条及び第11条の規定は、賃貸住宅管理業者が賃貸住宅管理業者登録規程第3条第1項の
登録を受ける前に締結した賃貸借契約については、適用しない。
3 第12条の規定は、賃貸住宅管理業者が賃貸住宅管理業者登録規程第3条第1項の登録を受け
る前に更新された賃貸借契約については、適用しない。
4 第15条の規定は、賃貸住宅管理業者が賃貸住宅管理業者登録規程第3条第1項の登録を受け
る前に受領した賃貸借契約に定めのない金銭その他の財産については、適用しない。
5 第18条の規定は、賃貸住宅管理業者が賃貸住宅管理業者登録規程第3条第1項の登録を受け
る前に終了した管理事務については、適用しない。