私は朝に弱い。小学生の頃からだ。 友達と一緒に学校に行くために待ち合わせをするときは夜から緊張した。 待ち合わせに遅れないか心配した。 でも、それが好きだった。 そして朝早く起きて、先に待ち合わせ場所で待っている時間が好きだった。 緊張感やこれから起こることが楽しみで仕方がなかった。 それが本格的になくなったのは大学に入ってからだ。 携帯電話を買ったのだ。使い始めてからその便利さを実感した。 待ち合わせで遅れるときは携帯電話で連絡が来る。 こちらも少しゆとりが持てるようになった。 遅くなったら連絡をすれば良い。 その分、待ち合わせの緊張感、楽しみがなくなった。 緊張する待ち合わせがなくなった代わりに新たなつながりが生まれた。 目には見えない電波で私は繋がっている。 携帯電話を持ち歩く。 私はいつでも何百人の友達と繋がっている。 携帯電話がいつでもつながるきっかけを与えてくれた。 その頃は友人で携帯電話を持っていない人はほとんどいなかった。 おかげで携帯電話の電波のつながりが多くなった。 一方で私の人間関係のつながりは希薄になっている部分があった。 いつでも連絡できるから連絡しないという悪循環に陥っている。 あの頃に待ち合わせをした人とは何年も連絡を取り合っていない。 忘れないでほしい。 電波ではない目に見えない絆で繋がっていることを。 出会う前までは何十億といる人間と同じだが、出会ってからはたった一人の人間だから。 いつだって肝心なのは目で見えないものだ。 それを昔の私は待ち合わせのときに強く感じていたのだろう。 今までの私はせっかくの道具があるのに使わなかった。 チャンスがそこに転がっているのに気づいていなかった。 いや、見て見ぬふりをしてきたのだ。 急に見えない絆を確認したくなった。 携帯電話を使って、待ち合わせをした懐かしい人に連絡を取ろう。 そう思うのはきっと私だけではないはずだ。 ※補足 誇張表現があるが気にしない。 微妙な嘘はほとんど誤りに近い。 目次に戻る。
