| HOME>NIGHT |
![]() |
Page of drunken men | ![]() |
|
| 表紙の店 |
|
No.1 「鳳華」(ふうか)東 坂之上町1丁目にあるこのスナックは、直美の店である。旧家の廃 材を再利用して改装したという店内は、養老乃滝風ボックスがあり、有線で流れるモダンジャズとミス マッチながらも、落ち着いた空間となっている。 この店でつきだしやら肴や
らを出すときに使われている器は、ママのお手製の陶器が多い。趣味の陶芸で作ったということで、氷入れなどなかなか風
情があって、いい姿をしている。長身の彼女は、「書」もうまいらしい。芸術家肌なのである。だから、時々突飛な行動をすることがある。しかし、これは大い
な
るサービス精神からくるものであって、きちんと計算された行動であると本人は言っていた。 店を手伝っている”しの ぶ”は、山里に生まれ育った。大雪の時の実家を写した写真を見せてもらったこ とがある。秋山郷に負けないくらいの景色だった。もうやめたらしいが、パン屋の仕事を掛け持ちでやっていたことがあった。パン屋といっても売り子ではな い。 そのときの彼女の手には、無数の細長いやけどがあった。 初めてこのスナックを訪れ たのは、八月の終りころ、まだ残暑が厳しい夏の終りだった。その日、会社の同僚と長岡の某所で飲んでいたのだが、帰り際、携帯 に着信有りの表示がついていることに気付いた。高校の同級生でインシュアランス関係の仕事をしているY.Kからのものだった。会社の同僚と別れた後、着信 の主に電話してみると、「フウカという店で飲んでいらんだてぇ。ちょっと来 い。今ここは大変なことになってらんだてぇ。」 聞けば、船栄ビルの左 隣にあるらしい。Y.Kと電話で話しながら近くまで歩いていくと、路上に立ち止まって携帯を耳に押しあてた黒いスーツ姿の男がこっちを見て笑っていた。 店内の灯りで分かった ことだが、Y.Kのスーツはびしょびしょになっていた。スーツだけでなく、カウンターの上にも小さな水溜りがたくさんできていた。大変なこととはこのこと か。「さっきまで、ママが水かけまくってたんだてぇ」そういわれてあたりを見回すと、カウンターの他の客も、ボックスの客も、髪がびしょびしょに濡れてい た。そのとき、いいようのない期待感に包まれたのを憶えている。 時間を正確に記憶して
いないが、とうに3時を回っていたと思う。店をあとにしたとき、期待通りびしょびしょになっていた。 maddog
|
|
| 夜のコラム |
|
| No.1
「氷入れ」 洋酒に 関係する酒器や用語は、その多くが外来語で呼ばれている。グラス然り、ボトル然り、シングル、ダブル、チェイサー、タンブラー・・・数え上げたらきりがな いほどある。キープボトルなんかは完全に和製英語だと思うけど、マドラーの場合「かき混ぜ棒」なんて具合に絶対呼ばれない。少なくともおばちゃんがやって いる場末の居酒屋で焼酎のお湯割りを作るシチュエーション以外では考えられない。(マドラー[muddler]は英語だが、「お茶を濁す人」なんて意味に も使われるらしい) で、問題の「氷入れ」 である。これの外来語が全然うかばない。「アイスボール」とかいうのかなぁ。でもこれじゃショットバーでグラスに入っているのと違 わない。じゃあ、形からいうと「アイスバケット」だろうか。辞書で調べたら、英語では、やはりアイスバケット[ice bucket]という。バケツである。この言葉を飲み屋さんでいまだに聞いたことがない。いやいやお前の行っている店が所詮そんな店なんだよって言われそ うだが、「アイスバケットお取替えします」なんて風にいわれたことがある人は、そういないはずだ。 よくよく考えてみると、ハリウッド の映画で、キープボトルと氷入れ、それにミネラルをテーブルに並べて水割りを飲んでい るシーンなんて見たことがない。大概ロックかストレートで飲むショットバースタイルだ。たまにボトルを片手に飲んだくれているシーンがあるが、あれとてス トレートでが ぶ飲み、断じて水割りではない。もともとice bucketというものは、ワインを冷やすもので、日本で氷を入れている器は、水割りを飲む習慣がある日本だけのものなのではないかという考えに至った。 だから氷り入れは氷り入れなんだ。こんなことに考えをめぐらす前に、「水割り」も日本語しかないじゃないか!「あ、そっか」と納得した。maddog
|
|
| このページのTOPに戻る HOMEにもどる |
|
