第3話
「最強の名を継ぐマシン(チョロQ)はひとつでいい。」
* * * *
某月某日。ホビーデパート『ギャブレット』において、向江 弓がヒロ兄と話をしているその頃―
とある工場跡地の片隅。人がうずくまって、咽び泣いていた。すぐ近くには一台のチョロQが転がっている。そこに近付く人影。
「最強の名を継ぐマシンはひとつでいい。」
ゆっくりと近づく。
「だが、それはあなたのでは・・・ない。」
淡々とした口調で、足元のチョロQを拾い上げる。赤の旧ビートル。ボンネットには白色の文字。
「レプリカでは、僕等には勝てない。」
そう言って少年はしゃがみこむと、相手の手のひらにチョロQを乗せ、そっと握らせた。対戦で破れた相手の悔し涙が量産型マグナムを濡らし―そして地面に吸い込まれていく。
と、その時、少年の背後から鋭い視線が突き刺さった。無言の圧力。
後方を一瞥し、立ち上がる少年。相手は既にチョロQを片手に身構えている。深緑のシュビム・ワーゲン。正面のプレートには凝った字体の『M』。
少年は相手を正視すると、愛車を構えた。
「次は・・・あなたか。」
手の中で、ライトグレーのニュービートルが呼応するかのように脈うった。
* * * *
―場面は戻り・・・
ヒロ兄は、弓の父、かつて『ゼロヨンQ太』と呼ばれた男との再会の約束を取り付けると、帰り際に彼女にこう告げた。
「詳しいことは未だ言えないけど、とにかく『破枷独太』と『PROJECT-MAGNUM』には注意しなさい。何か気になったらすぐにココに連絡するんだ。いいね!!」
奏の瞳が怪しく輝いた。
「ちょっとサスペンスっぽくない!?」
・・・やれやれ。
キュウは天を仰いだ・・・。
作者:竹下広司さん
注意:本作品はゼロヨンQ太 続編を想定したパロディです。