第2話
「くっそぉ〜〜〜!! また負けたぁ〜〜〜!!!
このオレ様としたことがぁ〜〜〜っ!!!!!」
地に膝をつけ、天に向かって咆える公灼。自作・強化したプルモーターを積む『デュークスペシャル』でさえ、彼女とその愛車に勝つことができなかった。もう何度目の敗北だろうか。
「今にみていろっ、キュウ!!! 今度こそ君を倒す!!
そして、今度こそ勝って、君に告白するんだぁ〜〜〜!!!」
・・・矢名 公灼、通称『デューク』。懲りない男。
* * * *
某月某日、とあるデパートの一角。この国内有数のホビーデパートは、つい先日も大規模なチョロQレースが催された場所である。普段は来店客にコースを開放、利用者で賑わっている。
そんな利用者の中に、隅の方で遠くを見つめる美少女―向江 弓―の姿があった。それを見つけた中年男性が親しげに近寄っていく。
「どうした!? 今日は走らせないのかい?」
齢四十を超えるであろうその男性を見上げる弓。傍から見ると危険なシチュエーション。
その時、オテンバ娘・伊井野 奏が割って込る。
「キュウ、お待たせっ!!」
息を切らせながら駆け込んで来た。
「・・・って、あれ!?
ヒロおじさん、こんにちは〜〜〜っ。」
「奏ちゃん、ヒ・ロ・兄って呼びなさいといつも言っているだろう!?」
* * * *
いい歳した『ヒロ兄』こそ、チョロQ界では名の知られたコレクター『真庭ひろし』その人であった。
「ところで、キュウ。Q太―いや、お父さんは元気にしてるかい?」
「元気も元気。未来のモトクロスチャンプを育てるんだって、今日も張り切って
たわよ。ねっ、キュウ。」
うなずく弓。
弓の親友である奏は、時として自らが『キュウ』であるかのような言動をとる。その結果が、今日の弓とニューマグナム号の戦歴にほかならなかった。
でも、弓はそんな奏と一緒にいるのが何よりも好きだった。
* * * *
「キュウ、お父さんと連絡が取れないかな?ちょっと気になる噂を耳にしたんだ。」
ヒロ兄の表情が険しくなった・・・。
作者:竹下広司さん
注意:本作品はゼロヨンQ太 続編を想定したパロディです。