特別講習 改造教室

フルスクラッチ「デカール編」


今回は予告通り、自宅にあるインクジェットプリンタで、デカールの作成に取り組んでみましょう。by タキmotoGPさん

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(1) デカールを作製するのに必要なのが資料です。昔は資料集めが大変で、たった一枚の写真のために本を買ったりしましたが、最近はネットで楽に集められます。詳しく載っている雑誌もありますが、今回はネットにあったこれらの画像から作製しましょう。

(2) 画像をペイントから開きトリミング、必要ないところを消しゴムで消していきます。カーナンバーは斜めになっているので回転させてパソコン処理をしやすくし、図形の四角を組み合わせてまっすぐに処理します。色の修正はエアブラシとブラシで。

(3) 元の角度に回転・トリミングし、200~400%に拡大表示、元画像と合わせながらブラシで根気よく修正。こまめにファイル保存し、黄色に黒ラインのあるバージョンも作製しておきます。元画像と比較してもクリアで形もまあまあ良いようですね。


(4) ライトもデカール化してしまいます。プリントから開いて画像をトリミング、周囲を消してから一度保存。左ライトを写真ソフトで左右反転して保存。もう一度プリントから左ライトを読みだし、下にスペースを作ってから貼りつけてvウしに修正します。

(5) ミシュランのデカールは画像よりキャラが下なので、切り取って移動させます。微妙な色は作ってもよいのですが、適当な場所をコピーしたほうが速く処理できます。枠などは描くよりコピーして貼り付けのほうが絶対正確です。

(6) 文字のレタリングは似たようなフォントをペイントで打ち出し、色を変換させて作ります。縁取りは四角図形の組み合わせやブラシで着色。背景や字体の色違いを作るときは塗りつぶしを使います。文字のフォントは48ポイント以上が良いでしょう。

(7) デカール印刷は、印刷解像度の良いはがき編集ソフト「筆ぐるめ」を使います。ここで写真ソフトや文書ソフトを使うと、いくら大きくデータを作っても印刷した時にサイズダウンするとモザイク化し、解像度がこの画像のようにがっくり落ちるからです。

(8) 用紙「はがき横」イラスト選択で画像を貼り付け。作った画像がボディのサイズに合わないときは縦横の長さを調整します。この時どう変形させようと印刷のときの画質低下はありません。サイズも大中小そろえておくと貼るときの選択肢が増えます。

(9) デカールキットはガイアノーツの「おうちdeデカール」のホワイトとクリア。とても解像度が高く写真のようなものでも全く画質が落ちずに作ることができます。ただし、タトゥ・シールのようにしてペタンと貼りつけて使うために若干扱いにくい製品です。

(10) 同じミシュランのデカールで比較してみましょう。上から世界一のデカールメーカー「カルトグラフ」、某海外メーカーによるデカールキット、一番下はガイアノーツのデカールキットで作ったものです。たった1mmの幅になかなかの解像度ですね。

(11) 以前作ったスマップのツアートラックです。この大きさですと雑誌の写真でも粗くなってしまうところを、メンバーの表情がよくわかるほどに再現してくれていますね。ところが、一度貼ると市販デカールのように位置を動かせない弱点があります。

(12) そこで私は、ウェーブ製のクリアデカールに貼りつけて市販のデカールのように水につけて貼ってしまおうと考えました。多少厚みは増しますが、うまくいけば解像度が高く扱いやすいという夢のようなデカールが作れるはずです。

(13)失敗のリスクを考えて多少多めに印刷しておきます。これは下地が白以外のところに貼るホワイトタイプ、慎重に位置を決めてシールのようにペタリとクリアデカールの上に貼りつけていきます。デカールの出来はとても良いようです。

(14) こちらはクリアタイプをクリアデカールに貼ったところ。一気に貼ったけど、慣れてない人はさっきのホワイトタイプのように少しずつのほうが無難です。乾いたら小さく切って転写式デカールのように貼ってみましょう。理論的にはできるはず…

(15) 意外なほど扱いやすく丈夫なデカールでした!デカール軟化剤も使えるし、厚みも思ったほどではありませんでした。車体はデカールを貼る前にマスキングして、珍しくタミヤアクリル黄色を筆塗りで色分けしています。

(16) フロントウインドウとリアスポイラーの文字デカールはRがついてますね。もともとまっすぐなデカールを、デカール軟化剤を使い車体に合わせて曲げました。綿棒を立ててデカールを少しずつねじることで軟化したデカールをカーブさせる技です。

(17) 細部塗装も完了し、クリアがけの作業を待っています。心配なのはこのデカール構成でクリアがけをしたときに、デカールの溶けだし、ひび割れ、しわといったトラブルが出ないかといったこと。慎重に砂吹きから入っていきます・・・。

(18) いつものように下から吹いていきます。黒く塗ってあるのはフルスクラッチのため内部がごつごつかっこ悪いのを隠すための技。タイヤのすき間から内部がちらっと見えたときに、ちょっと本物みたいに見えるという利点もあります。

(19)よかったねー♪うまくいきました。デカールの割れもしわもなく段差も目立たず思った以上のできです。しかし、好事魔多し。スクラッチエポパテはシンナーを吸い、乾燥が遅かった…乾き切らないうちに次の作業に移ったので修復に数日…(>_<)

(20)もう一度1200番でペーパーがけ、平滑な面に戻してからワカメのように変形した黒のラインとミシュランステッカーの上にデカールを重ねて貼ります。銀のリベットも塗装、もう一度クリアがけの後磨いてから、部分的に艶消しクリアを筆塗りします。

(21)一晩おいてから艶消し塗装のはみ出たところを極細綿棒で磨いてつやを戻します。入念に点検後、シャーシをねじ止めして完成!雑誌の写真と見比べても違いを見つけるのが難しいくらいになったんじゃないかな?(自画自賛)(^^ゞ

(22)コインホルダーは作ったデカールで半艶消し塗装。複製ホイールもまあまあですね。実車が黒っぽいガンメタルのような色だったので明るいガンメタに黒ウェザリングで奥行と重厚感を出しています。タイヤだけ市販のデカールを貼りました。

(23) 画像で見てもデカールの段差がわからないくらいに研ぎ出しができました。段差を目立たなくするには、デカール周辺のクリア部分をギリギリまで切ってから貼るとよいですが、やり過ぎるとクリア部に密閉封印された色が溶けだすことがあるので注意しましょう。

(24) フルスクラッチ「デカール編」いかがでしたか?ちなみに今回のデカールにかかった費用は三種類のデカールキット合計1600円ちょっと。デカールを作って貼るだけなら、カスタム初心者でも自宅のプリンタとパソコンのスキルがあれば大丈夫です。ぜひあなただけのお気に入りの一台を作ってみてくださいね。
次回は完成したチョロQでジオラマでも作ってみようかな。(^◇^)