月刊カノープス通信
2006年1月号

 目次 

・今月の勘違い
・息子のクリスマスプレゼント
・読書録
(『真実の種 うその種』『パラケルススの娘 2』『彩雲国物語 7』『風の王国 4』『空ノ鐘の響く惑星で 8』)




 今月の勘違い

 またまた我が家のとんちんかん会話集です。
☆私「『ぽちたま』のまさお君ってラブラドル・レトリバーだよね」
 夫「えっ、ダメダメなレトリバー?」

☆私「子供たち、もう寝息を立ててたよ」
 夫「えっ、胃液を出してた?」

☆テレビCM「こんなに光熱費が安くなってる!」
 夫「えっ、子ネズミが安くなってる?」

☆私「ドクター・ストップだって」
 夫「えっ、ドクター・スランプ?」(←『ドクタースランプ・あられちゃん』、懐かしい〜)

☆夫「この透明の歯ブラシ、誰の?」
 私「えっ、ともえの歯ブラシ?」

☆テレビアニメ「おぬしのような赤ん坊が……」
 私「えっ、漆のような赤ん坊?」(どんな赤ん坊かと思って、思わず画面を確認してしまいました)

☆夫「宅配便送ってもらったから、無事届きましたってメールしなきゃ」
 私「えっ、リストラしました?」

☆私(年末年始のある晩に夢を見たのですが、その夢を見たのが30日や31日の晩だったのか1日の晩だったのか忘れてしまったので)「そういえば、私、こういう夢を見たんだけど、あれが初夢だったんだろうか……」
 息子「えっ、ハッピー・ウェルカム?」



 息子のクリスマスプレゼント


 ちょっと季節外れになってしまった話題ですが……。
 今年、中一の息子が、はじめて私たちにクリスマスプレゼントをくれました。
 得意満面で渡してくれたそのプレゼントとは、なんと、自然薯! しかも、自分で掘ってきたもの。しかも、うちの庭から……(^_^;)
 息子よ、その自然薯、お父さんとお母さんが、何年も前から、もっと大きく育ってから掘ろうと思って(むかごの採集用も兼ねて)長年温存していたものなんですが……(^_^;)

 前々から、うちの庭の隅のフェンスに他の雑草と混ざってヤマイモのツルが絡んでいたのですが、息子は、ずっとそれをただ『むかごが生るツル』だとしか思っていなかったらしいのです。で、そういえば最近、私が、それは自然薯のツルだと教えたら、驚いていましたっけ。それで、それを私たちにプレゼントしようと思いついたのですね。

 掘ってきてくれた自然薯は、細かったし、途中で折れてしまった上に一緒に掘ったお友達と半分こしたので、ほんの数センチ分ほどしかありませんでしたが、薄切りにして(太さの揃った千切りに出来るほどの太さがなかったので……)かつおぶしとお醤油で食べたら、ほのかに甘味があってたいへん美味しかったです。
 なにより、私たちを喜ばせてくれようという息子の気持ちが、とても嬉しかったです。きっと、とっても苦労して掘ったんでしょうし。
 クリスマスプレゼントに子供から自分で掘った自然薯を貰った親なんて、きっとあんまりいないでしょう!
 ちょっとマヌケだけど最高のクリスマスプレゼントでした。



 読書録


『真実の種、うその種(ドーム郡物語 3)』 芝田勝茂 社

 シリーズ前作2つを読んだ時は、これは古い作品だから今読むと気恥ずかしいんだろうと思っていましたが、20年ぶりに出たシリーズ新作でも、独特の気恥ずかしさは健在でした……。
 『恥ずかしい』といっても、もちろん、『出来が悪くて恥ずかしい』とかそういう意味じゃなくて、読んでて照れる、気恥ずかしいという意味なんですが。特に、あいかわらず、作中に出てくる歌が恥ずかしい……。

 あと、女の子のキャラが、何か気恥ずかしい。ヒロインも、脇役の酒場の踊り子も、なんていうか、あまり日本の児童文学や少女小説には出てこないタイプの女の子たちのような気がします。
 普通、西洋風異世界ファンタジーでも、国産作品のヒロインは、『金髪碧眼なのに性格は日本人』だったりするじゃないですか。ところが、このヒロインは、あまりそういう感じがしなくて、なんていうか、欧米の青春ドラマに出てくる気の強い女の子みたい? そこがまた、なんとなくこそばゆくて……。
 クリスとのほのかな恋愛要素も、どことなく日本離れしていて、妙にこそばゆかったです。

 一番印象的だったシーンは、藁の人形のシーン。幼いスフ王のさみしさがひしひしと伝わる気がして、ちょっと泣けました。ヘンなカエルの神様たちも面白かった。
 少年少女の旅に大人の代弁者であるお説教役のおっさんを同行させてたっぷりと語らせてしまったために、ちょっと冗長に、また説教臭くなりすぎたかなあという感もありましたが、彼の存在とそのお説教(笑)が作品に厚み・深みを加えているのも確かかと。
 非常にテーマ性が強く、そのテーマを真っ向から正攻法でこれでもかというほどとことん描く、気骨の長編。本の分厚さに見合った重みと厚みのある力作だと思います。


『パラケルススの娘 2 地下迷宮の女王』 五代ゆう メディアファクトリーMF文庫

 個人的には、前作より面白かったです。
 前作は、ちょっと無理してライトノベルを書こうとしたような印象があって、作品単体では十分面白いけど『五代作品として』期待したら多少もの足りない……という感触だったんですが、今回は、マンガチックなお約束要素(お笑い担当の『バ』とか、ラストの怒った美少女二人に追い回されるラブコメ的なシーンとか)もきっちり盛り込み、妹萌えにツンデレなど、萌えのバリエーションも更に強化してライトノベルの枠をきちんと踏まえながらも、五代節炸裂。終盤近くまでわりと地味にあちこち移動したあげく、終盤で唐突に巨大なモンスターが出現して大混乱の大破壊、そのあとの、やや虚脱感漂うすがすがしさ……という、いつものパターンもくっきり出現して、読後に、『重量感溢れる五代作品を読んだ!』という満足感がありました。最後の決戦のシーンはアニメで見たらすごく絵になりそう。

 ところで、バシレウス・サロモンって、別にそんなに長たらしくも言い難くも覚え難くもない気がするんですが……(笑)。私だってもう覚えてるくらいだし。『ものすごく長たらしくて言い難くて覚え難くて、みんなからいつも省略されちゃう名前』ということで出すんなら、もっと、本当に舌をかみそうな名前とか、ピカソやじゅげむ並みに長い、笑える名前にすればいいのに。


『彩雲物語 欠けゆく白銀の砂時計』 雪乃彩衣 角川ビーンズ文庫

 シリーズもの、つづき。今回はちょっとシリアス多め?
 相変わらず面白かったけど、でも、飲み比べはまずいでしょう、飲み比べは……!(笑) それ、根性とか気合とかの問題じゃないから。体質の問題だから。ヘタすりゃ死ぬから……(^_^;)


『風の王国 竜の棲む淵』 毛利志生子 コバルト文庫

 シリーズもの、つづき。これも相変わらず面白かったです。『二人は結ばれました、目出度し目出度し』とか、『非恋愛結婚後に手探りで徐々に心を通い合わせて目出度し、目出度し』までだけなく、さらにその先、勝ち取ったささやかな幸せを外界の荒波から守り抜いて維持することの困難さまで描いているのって、少女小説では珍しいんじゃないかという気がします。幼児が幼児らしく、犬が犬らしく描かれているのも出色。
 しかし、この世界、一応、超自然要素が存在するファンタジーの世界なんですよね……。一見、たんなる架空歴史ロマンみたいなので、読んでいるうちにいつのまにかファンタジーなのだということがすっかり頭から抜け落ちていて、魔術師が術を使うシーンで、毒薬や催眠暗示・錯覚など、ある程度医学や科学で説明の付く技術を想像していたら本当に目に見える超常現象が起こったので、一瞬、あれっ?と思ってしまいました。


『空ノ鐘の響く惑星で 8』 渡瀬草一郎 電撃文庫

 これもシリーズもの、続き。相変わらずすごい! 面白い! でも、相変わらずあまり感情移入はできない……。フェリオもリセリナもウルクも、それぞれあんまりにもいい子ちゃんで、好感は持てるけど、ディープな思い入れまでは誘われないらしいです。
 あと、新キャラ。(おやおや、また19歳の美少女か……(^_^;))と思ったけど、よく考えてみれば、ライトノベルだと思えば美少女ばかりタイプあれこれ取り揃えてわんさか出てきても、しごく当然なのかも。作風・文体にラノベ色が薄めなので、キャラがうら若い美女ばかりなのを奇妙に感じてしまっていただけだと気が付きました。つまり、私の視点がズレてたのですね。
 でも、今回は美少女以上に、色々取り揃えたおっさんたち(番茶も出花から、おっさん盛り、おじいちゃままで)が大量に出てきて、それぞれ美味しく楽しめました。
 キャラといえば、今回は私お気に入りのパンプキンの出番が少なくて残念。でも、もう一人のお気に入りのムスカ教授が出てて嬉しい。今まで影が薄かった王様も、けっこう好きかも。『縫い物が趣味』に、ちょっと萌えv

☆その他メモ:『グインサーガ』『湖畔のマリニア』まで読了、『風の騎士』、読み途中。次は『我が家のお稲荷さま 4』


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