月刊カノープス通信
2005年5月号

 目次 

・季節の便り『草笛』
・今月の勘違い
・近況報告『魔法の杖』
・近況報告『夢の”ヨン様ツアー”?』
・読書録
(『キーリ4』『風と暁の娘』』『我が家のお稲荷さま。2』『風の王国 2』他)




 季節の便り『草笛』

 天ぷらに、炒め物に、お味噌汁の浮き実に……と、早春のあいだは大活躍して、雀の涙程度にだけど家計も助けてくれた庭の雑草、カラスノエンドウ。
 今では伸びすぎて堅くなり、しかもアブラムシがついてしまったため、もう葉っぱは食べられなくなりましたが、このあいだ、最後の名残に、若い莢を茹でて食べてみました。ほんとにちっちゃな莢なので、それで栄養のタシにしようとか食費を浮かそうとかいう実用的な目的じゃなく、おままごとみたいで面白そうだから、ちょっと遊んでみようかと……。

 ちっちゃな莢をさっと茹でて、薬味用のミニ皿に乗っけて食べてみたら、筋が固かったけど、味自体は、かすかな甘味と豆の風味があって悪くない味で、おままごと気分で楽しかったです。

 そして、その後は、さらに大きくなって堅くなった莢を、息子たちが草笛にして鳴らしています。
 先日、上の息子が草笛を作って鳴らしていたら、近所の『ちびっこ軍団』(←息子談)が寄ってきて、
「作って、作って!」と群がられて大騒ぎになり、全員に作ってやるはめになったとのこと。
 今どき、小さい子が外で遊んでいると近所の中学生のお兄ちゃんが草笛を作ってくれるって、いいですよねえ。

 草笛といえば、今は、田舎の子供でも、みんな草笛を知らないんですね。
 子供が保育園の頃に保育所の授業参観で園外のお散歩に同行した時とか、犬の散歩に近所の子供がついてきた時などに、子供たちに草笛を吹いて見せたら、誰も草笛を知らないんです。
 草笛だけじゃなく、たとえばオオバコの茎でお相撲をするとか、ツツジやスイカズラやオシロイバナの蜜を吸うとか、スギナで継ぎ目あてクイズをする、シロツメクサで首飾りを編む、スミレで指輪を、タンポポで水車を作るなどの草花遊びも、みんな、意外と知らないのに驚きます。園や家の周りはこんなに自然いっぱいなのに……。

 たぶん、親もやり方を知らなかったり、親は知っていても子供と一緒にそういう遊びをすることを思いつかなかったり、そういうことを教えてくれる年上の遊び仲間がいなかったりするからでしょう。
 でも、子供は本来、そういうものに興味深々なので、ちょっと実演してみせれば、みんな、自分も自分もとやりたがるのです。

 草笛といっても、私が鳴らせるのは、鳴らすのに技術が必要で美しいメロディが奏でられるような本格的なやつじゃなく、誰でも簡単にぶーぶーと間抜けな音が出せるものばかりなので、程よい材料を探して渡してやれば、小さい子にも簡単に作れたり音が出せたりするので、子供たちはとても喜びます。

 ちなみに、私が知ってる草笛は……
・桜の花びら。両端を持ってぴんと伸ばしたものを唇にあてて吹くだけ。
・笹の先っぽの芽。筒状の若芽を咥えて吹くだけ。
・椿やネズミモチなどの堅い葉っぱ。くるくると筒状に丸めて、その一端を押し潰してらっぱみたいな形にして吹くだけ。
・ススメノテッポウ。穂を引き抜いた後の筒状の部分を咥えて吹くだけ。

 ……でも、よく考えてみたら、私が率先してそこらの汚い葉っぱを咥えてうるさい音を出したり、そこらの花の蜜を吸ったりして、それをよその子供にまで教えているのを見て、実は、内心、「ウチの子になんて不衛生な下品なことを教えてくれるんだ!」と思っている親もいたりして……(^_^;)




 今月の勘違い

またまた我が家のとんちんかん会話集です。
☆テレビアニメ『遊戯王』を見ながらの子供たちの会話を夫が小耳に挟んでの勘違いです。
 息子「ねえ、ナントカ・ドラゴンは『自然文明』?」
 夫「えっ、自然分娩?」
 ……そりゃあ、ドラゴンの出産は自然分娩でしょう……(たぶん)。

☆夫のところに、『みく』さんという女性名を語った出会い系スパムメールが来たときの会話。
 夫「誰だよ、『みく』っちゃ……
 私「えっ、ダメだよ耳食っちゃ?」

☆うちでは、よく、安売りの時に纏め買いした食パンを冷凍保存します。ピザトーストなどをする時は、凍ったパンで作った方が便利なのです。ある日、私が凍らせてあったパンでピザトーストを作ろうとした時の会話。
 私「冷凍パン使うね」
 夫「えっ、冷凍パンツ買う? 冷凍パンツって何?」

☆上の息子の中学校の入学式の集合写真が配布された時、背景に飾ってあった校長先生直筆の書を見た夫の一言。
 夫「ああ、びっくりした。なんでこんなところにふんどしって書いてあるのかと思った!」
 そこに達筆で書かれていた文字は『褌(ふんどし)』ではなく『輝(かがやき)』でした……(^_^;)
 入学式の壇上に『ふんどし』と書いて飾ってあったら、それは確かにびっくりですよね。




 近況報告『魔法の杖』

 このあいだ、夫の誕生日の日に、たまたま夫は休みで私は夕方まで仕事だったので、夫に夕飯の買い物を頼みました。
「今日は誕生日だから、何か自分が食べたいものがあったら買ってくれば?」と言っておいたら、子供たちをつれて買い物に行った夫が買ってきたものは……フライドチキン、ソーセージ、そしてソーセージ入りの調理パン!

 子供を連れて行ったために、自分が食べたいものではなく子供が欲しがるものを買わされるはめになった結果なのですが、夫も、
「今日は『肉、肉、肉』なんだ♪」と、それなりに嬉しそう。
 もちろん、本当に肉ばかりというわけにはいかないので、冷蔵庫にあった野菜でサラダやスープなども作りましたが……。

 まあ、それはいいとして、その、ソーセージ入りのパンというのが、すごいパンだったんですよ。どうすごいって、信じられないほど長〜いんです!
 フランスパン風のパンの中にソーセージがまるごと焼きこんであるんですが、パンの長さを計ってみたら、なんと83センチ! そして、パンも長いがソーセージも長い! てっきり、ソーセージは短いものが縦一列に並べて入れてあるんだと思ったら、よく見ると、端から端まで一本の長〜いソーセージ!

 商品名は『魔法の杖』。
 なるほど、たしかに……。
 値段は500円近かったです。そりゃそうだ。長さが普通のフランスパンの倍はあるもん。しかもソーセージだって、普通のソーセージ丸々一袋分くらいの量がありそうだし。

 で、その長〜いパンが、仕事から帰ってきたら、部屋の中にぶらさがってたんです。あんまり長いので置き場所に困った夫が、洗濯物用の小物干しにパンの袋の端っこを挟んでぶら下げておいたのです。
 そういえば、前に、仕事から帰って部屋に入ったら天井からバナナが一房ぶらさがっててびっくりしたこともあったっけ……。夫が特売のバナナを買って来て、このバナナは見切り処分品で痛みかけてるしバナナは吊るしておくと長持ちすると聞いたからと、鴨居に渡してある洗濯物干し用の竿に紐でバナナをぶら下げておいたのです……と、これは脱線でした(^^ゞ

 この巨大なパンを、子供たちは最初、どうしても一人一本づつ買ってくれと騒いだそうなのですが、夫は、さすがにそれは多すぎると、一本だけにしたとのこと。
 実際、一本を4人で分けてもまだ多すぎるくらいでした。
 せっかくなので長いまま食べたいだろうと、薄くスライスするのではなく全体を大きく四つに切り分けたたのですが、私の分は5センチくらい(それでも十分多かった)にしたので、後の三人は、一人あたり25センチ分! けっこう堅いパンだったので食べてる間にあごが疲れてきて、だんだん無口になる三人……(^_^;)

 ちなみに味は、意外と(失礼)おいしかったです。この手のパンって、パン自体はともかく、中のソーセージがおいしくなくてイマイチな味であることが多いのですが、これは、ソーセージも、よくある安っぽいフランクではなく、どっちかというとカルパスみたいな味で、ややモチっとしたパンの食感と良くあってました。
 誕生パーティーででもなければとても買えない、すごいパンでした……。




 近況報告『夢の”ヨン様ツアー”?』

 始めに言っておきますが、私は別にヨン様のファンでもなんでもありません。……が、夢に出てきちゃったものは出てきちゃったんだから、仕方ない……。

 昨日、ヘンな夢を見たんです。
 オバ様の団体さんがテーブルについてお食事中なのですが、なんと、そのオバ様たち一人一人の横に各一人づつ、ヨン様が座って、あの魅惑の微笑を湛えているのです!
 どうやら、これは、一人に一人づつヨン様のそっくりさんが隣に座ってお食事の相手をしてくれるという斬新な趣向の団体ツアーらしいです。
 なるほど、そんなツアーがあれば、そしてそっくりさんのヨン様たちがあのレベルなら(なにしろ夢の中だから、ヨン様たちは、みんな、それはもうクローン・レベルのそっくりさんぶり! てゆうかほんとにクローンだったのかも、なにしろ夢の中だから)、確かにウケるだろう、すごい企画だ……と、私は夢の中で感心しています。

 ちなみに、オバ様たちが食べている料理は、韓国料理などではなく、和食のようでした。
 もし私がヨン様の大ファンだったら、隣にヨン様(もしくはそのクローン・レベルのそっくりさん)が座っていたら、食事なんかより何より、(今しか間近に見ることが出来ないだろうそのお姿を一瞬も見逃すことなく、二度とないこの機会に、目に、心に、しっかりと焼き付けなければ)と、そっちのほうに必死で、ご飯なんか食べてる余裕はないんじゃないか、ドキドキしちゃって喉を通らないんじゃないか……とか想像するんですが、夢の中のオバ様たちは、ときおり隣のMyヨン様とうっとりと幸せそうに談笑したりしながらも、しっかりどんどん食べております!
 トキメキで胸いっぱいだって、食べるものは食べる! そりゃそうだ、豪華なお食事もツアー代金に入ってるんだもん、せっかくのご馳走、食べなきゃ損、損! オバ様たち、食べる、食べる、遠慮なくばくばく食べる……。
 うん、うん、ヨン様とご馳走、どっちも同じくらい大事だよね! オバ様たち、さすがです……と、夢の中の私は、さらに感心しています。

 目が覚めてから、『ヨン様がいっぱい』というこのシチュエーションは、たぶん、ヨン様が二人出てくるピザ屋のCMの影響だろうと気が付きましたが、そういえば、夢の中のあのヨン様たちは、日本語しゃべってたんですかね?(笑)




 読書録

『キーリ4』 壁井ユカ子 電撃文庫

 2、3では、ちょっと舞台の雰囲気が薄れているような気がして、いったいこのシリーズはこの先、私好みの方向に向かってくれるのかそうでないのか、ちょっと見極めが付きにくくて期待半分不安半分みたいな気分だったのですが、今回は、また、荒涼とした殖民惑星のレトロでノスタルジックな雰囲気が色濃くて、好きな雰囲気でした。また鉄道旅行だし。
 やっぱり、私にとっては、このシリーズの魅力は、古めかしい鉄道の存在あってこそみたいです。レトロな鉄道と砂塵の荒野と戦争の傷跡……という道具立てに、松本零士に通じるところがあって、私みたいな松本零士好きの人のツボを刺激するんじゃないかと思います。

 今回も、一冊の構成は前二巻とほぼ同じだったような。
 最初に独立性の高い幽霊成仏(?)譚、その後、いくつかの小エピソードを経て本筋へ……という。私の頭の中には、毎回のストーリー曲線が波線グラフになって浮かんでいるんですが……(^_^;)

 今回は本筋にあたる地下水路の逃避行が大変面白かったです。不死人にまつわるSF的な物語が見え隠れしてきて、引き続きシリーズが盛り上がってくれそうで楽しみです。ユーリ君のすっかり成長しての再登場も嬉しいです。ハーヴェイにライバル心を燃やすユーリ君が可愛いv


『風と暁の娘 パンツァードラグーンオルタ』 五代ゆう メディアファクトリー

 ゲームを下敷きにした二次創作らしいです。元のゲームを知らないので、よくわからないのですが、ゲームの世界観を生かしているだけでストーリーは全くのオリジナルらしいです。
 とても面白かったです。骨太にして繊細。期待を裏切らない面白さ、たっぷり堪能しました。

 私はワームライダーの村の設定が特に面白かったです。中でも、藻類との共生の話が。
 あと、それまでファンタジーっぽかったのが途中で急に『ニューロマンサー』みたいなサイバーSF風になる部分も興味深くて面白かったです。
 キャラでは、人外好きの私にはアバドがなんとなく気になるキャラでした。最後の方に挿絵が出るまで、どんな姿をしているのか、いまいちよくわからなかったけど……(^_^;)
(アバドだけじゃなく、ドラゴンや、その他の生き物や乗り物、建物、街なども、元のゲームを知らないせいか、それとも私の想像力が貧困なのか、いまいち形の想像がつかないことが多かった……)

 エヴレーンの最後のシーンは、泣きました。愛を知らずに、自分が誰かも知らずに育った少女のアイデンティティの模索と傷ついた魂の回復のドラマは、いかにも五代節。

 あちこち移動しながらわりと暗い雰囲気でいろいろやってるうちにラスト近くで突然派手な大カタストロフィが訪れて、ほとんど怪獣映画みたいな状態になって、ラストでは、「街は派手に破壊されちゃったけど焼け跡の空は広いぞ」みたいな、荒廃した中にもなんとなく希望を感じさせるすがすがしい雰囲気で終わるという流れは、同じ作者の『清明鬼伝』と同じパターンだなと思いました。

 なんだかぜんぜんまとまらない、断片的な感想ですみません……(^^ゞ 面白かったんですけど、『面白かった!』としか言いようがないです……。


『我が家のお稲荷さま。2』 柴村仁 電撃文庫

 あー、楽しかった(^^) 私、これ、好きだなあ……。安心してさらっと読めて、肩が凝らなくて、ほのぼの笑えて、とにかく楽しいです。
 前回は一巻目ということで、ハチャメチャの前にやや地味目な導入部が必要でしたが、今回はもうキャラもひととおり出揃い、基本設定の紹介も済んでるから、もう、最初から飛ばしてて、冒頭のお買い物のエピソードからしておかしいのなんの……。

 そして、今回は、かわゆ〜い子狐ちゃんに、ふさふさ大狐の華麗なフリスビー・ショー、あまりストーリー展開上の必然性が無い(笑)和服美少女の入浴シーン&湯上り生足、全く必然性が無い(笑)金髪美女の悩殺水着、ガール・フレンドの浴衣姿など、それなりに必然性があったり全くなかったりする各種サービスも全開(笑)。

 そして私は、ゲストキャラのフクロウさんが好きだ!
 黒マントにヘンなお面というあからさまに怪しい風体なのに、中身は律儀で真面目で礼儀正しく、いたってオトナで常識人っぽく、訪問先には地元銘菓のお土産(定番中の定番、『白い恋人』!)持参と、しごくフツーでマトモなのがなんとも……(^O^)
 で、そんなにフツーでマトモなのに、自分の風体の怪しさにはぜんぜん気づいてないらしい、やっぱりちょっとズレてるところがまた、なんともかんとも……v 好きです、フクロウさん(はぁと)

 で、結局、これは、『子供にお手伝いを頼んだら完璧じゃなくてもとりあえずがんばりを認めて褒めてあげようね』というお話だったんですね?
 冒頭のお買い物のエピソードは、ちゃんと、そのテーマを明示するエピソードだったんですねえ。なるほど〜(笑)

 ところで、私は、これを読んで初めて、大五郎のお父さんの名前が『拝一刀』であることを知りました。
 そういえばそうですよね、よく考えてみれば、『ちゃん』も『子連れ狼』も、名前じゃないですよね……(^^ゞ
 そうかぁ、『ちゃん』にもちゃんと名前があったんだ!


『風の王国 天の玉座』 毛利志生子 コバルト文庫

 ちょっと珍しい、チベット周辺が舞台の架空歴史ロマン(……なのかな?)の二冊目。
 異国の宮廷の衣食住、風俗習慣がきちんと描写され、異国に王様に嫁いだ少女が生活習慣から宗教、考え方まで違う異文化を戸惑いながらも受け入れていく過程が丁寧に描かれているのが、臨場感があって大変楽しかったです。ちょっと陰謀があったりして、一応人死にも出たけど、基本的にはほのぼの日常もの? ラセル坊やがいじらしくて可愛かったです(^^)
 若き王様との新婚生活も、オトメの皆さんには、きっと、ちょっとドキドキなことでしょう。なんとなく、往年のドキドキ新婚さんモノ少女漫画『ミルクタイムにささやいて』を思い出しました。(←古ッ……(^^ゞ)


☆その他、メモ。『グインサーガ100』『キーリ5』『彩雲国物語2』『魔法の庭』読み途中。


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