月刊カノープス通信
       2003年8月号-1

  ──今月の詩──
  『カンナの炎で燃やしてしまおう』


手をつないだふたりが 楽しそうに歩いてくる
花壇のこっち 背の高いカンナの陰で
わたしはふたりをやり過ごす

センパイが あの娘とつきあってるって
ホントだったんだ……

センパイが あの娘の髪に触れる
リボンを揺らして あの娘が笑う
わたしは 目をそらしも 伏せもせず
真っ赤なカンナの花越しに ふたりを見つめて立ちつくす

わたしの手の中
想いを込めた 白い封筒が
ただのくしゃくしゃの紙くずに変わる
(なんて他愛のない初恋の なんてありふれた結末)


ふたりとも わたしに気づかず 通り過ぎて行く
幸せそうな笑い声が遠ざかる
わたしの目の前
カンナの花が
真紅の炎になって燃え上がる


渡せなかった手紙も 胸の中の想いも
カンナの炎で 燃やしてしまおう


白い封筒は ひとつまみの灰になって 跡形もなく風に散り
わたしはいつか おとなになって 
強くてきれいな女になって
『あのころは恋に恋していたのね』なんて
きっと笑って言うだろう

でも わたし 本気だったよ
だって 今 私を焼く
カンナの炎は 
      こんなに 赤い






【読まないほうがいいかもしれない無駄な解説(心の広い方・好奇心の強い方・ヲタクに嫌悪感の無い方だけお読みください^_^;)】

今月はまた、恥ずかしい作品です(^_^;)
いいトシして、何書いてるんでしょうか、という感じですが……(書いたのはたぶん十年近く前だけど、そのとき既に私はいいトシだった)。
実は、これには深いワケがありまして、この詩は、もともと、企画用だったのです。

その『企画』とは、なぜか、『○ーラームーン』本……(^^ゞ
その昔、年季の入ったオタクであるうちの夫が、イベントで売る『セー○ームーン』本を作ろうと言い出したことがあって、そのときのコンセプトが、どういうわけか、『各セーラー戦士と、そのキャラに似合う花を取り合わせた、思いっきりおとめちっくなイラスト・ポエム集』であり、それ用の『おとめちっくなポエム』の製作を依頼されたのです。

その頃、私は、実は『セーラー○ーン』は、あまりちゃんと見たことがなくて、内容もあまりよくわかっていませんでした。でも、メインキャラの名前と顔くらいは、一応、認識していました。
で、どのキャラにはどの花というのを自分で考えて、そのキャラに合いそうな内容の詩を書いてみたのでした。

結局、この企画はボツになりましたが、詩だけは5人分、ちゃんと出来ていて、こうして使いまわししています(^^ゞ

ちなみに、これは、レイちゃんの詩です。
私の中で、レイちゃんは、『白い封筒でラブレターを出すのが似合いそうな、ちょっと古風な女の子。ちょっと大人ぶってて、醒めたところがあるけど、内面は情熱的。花ならカンナ。属性でいえば『火』』というイメージだったのです。
ろくに番組を見ていなかった割には、このキャラ・イメージは、そんなに見当違いでもなかったような気がするのですが……いかがでしょう?

ついでに告白すると、2002年5月の詩『虹を見た日曜日』も、この企画から生まれた作品です。ちなみに、キャラは美奈子ちゃん(花は薔薇)です(^^ゞ
実は、これはイラストもちゃんと上がっていたので、オフラインの交流誌に、夫が描いた、とってもおとめちっくな美奈子ちゃんのイラスト(服はピンクハウス風。もちろん、周囲に薔薇が咲き乱れている^_^;)と一緒に発表したこともあります。

ついでに、他のキャラは、『うさぎちゃん=月見草、マコちゃん=ひまわり、亜美ちゃん=すずらん』でした。

このうち、マコちゃんのは、ちょっと恥ずかしいけど普通の詩として使いまわせなくも無いのですが、うさぎちゃんのは、ただ恥ずかしいだけでなく、偶然、部分的に『セーラームー○』の設定に沿った内容になってしまったらしいので(夫の話によれば……)、普通に詩として使い回すにはちょっと無理があると思われます。私はアニメのストーリーや設定をあまり知らなかったので、これは、あくまで偶然だったのですが。

そして、亜美ちゃんのは……。ただでさえ作品としてのできばえが不本意なだけでなく、内容的にあまりにも恥ずかしいので、自分でも、もう二度と見たくありません!!


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