月刊カノープス通信

  2003年5月号-1

  ──今月の詩──
    『五月の風』

とおい 宇宙の深淵で生まれ
幾億光年の冷たい闇と
幾億年の孤独な時を越えて
その時 やっと地球に辿り着いた
一陣の風が

蒼くきらめく五月の空を吹き渡り
木立を潜り 梢を揺らして 緑に染まり
閉ざされていた この窓をすり抜けて
私の胸に届いた 瞬間

  窓の外 光の中を 
  駆け抜ける あなたを見た


    あの日から
    私の中で 風がざわめいている
    私の心が ひっそりと とまどいながら
    風の音に 耳をすましている



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