カノープス通信

  2003年1月号-1

  ──今月の詩──
   『失楽園 ―(2)―』

夢の中で 泣いたような気がする

いつともわからぬ遠い日に
私は 楽園を失った

目覚めれば 闇

けれど すぐに 私は気づく
その闇が 冷たくはないこと
私が 独りではないこと
手を伸ばせば そこに
小さな おまえがいる

だから今は ただ こうして
眠るおまえを 抱いていよう
おまえの躯の裡にまどろむ 遠い日差しのぬくもりを
私はこうして 抱きしめていよう

やがて 小さく伸びをして目覚めたおまえは
夢のなごりを宿した不思議な金色のその瞳で
きっと 私を見上げるのだ
小さな前足で そっと 私の頬に触れるのだ
その時 私は 再び見い出すだろう
おまえの目の中に
失われた楽園の 黄金の夕映えの
永遠の残像を

イラストの転載はご遠慮ください)





解説

 この詩とイラストは、999年の冬コミに向けて発行した夫婦合作の手作り詩画集『楽園のかけら』からの再録です。
 先月の詩とあわせて二部作となってます。


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