カノープス通信 
  2002年5月号-
1

  ──今月の詩──
   『虹を見た日曜日』  

ねえ 覚えてる?
あれは五月 薔薇の季節
ソフトクリ−ム舐めながら歩いた 日曜日の公園
真夏のような日差し
あの年 初めての半袖
まだ日焼けしていない腕を 撫でていった微風(そよかぜ)
噴水のまわりで遊ぶ 子供たちの歓声

突然の天気雨に 
はしゃぎながら駆け込んだ東屋(あずまや)の隣では
咲いたばかりの 真っ赤な薔薇が 
雨の雫に濡れていた

雨が上がって 見上げた空に
そのとき 大きな虹がかかった
ひととき 言葉もなく 見つめていた

それから 溶け出したソフトクリ−ムに気づいて
また たあいもなく笑いころげた あの日


  あれは あたりまえの日曜日
  世界が まだ あどけなく輝いていた頃

  あの頃は わたしたち
  あんな日を 何度でも一緒に過ごせると
  なぜかしら 信じていたね──




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