カノープス通信 
   2002年1月号-
1

     ──今月の詩──
『ぼくたちの温室 ――1984年・冬――』

カ−ステレオからはユ−ミン
青春はとても短いので
ぼくたちは いつも とばしている
寒い日は 国道沿いのハンバ−ガ−ショップで
いつものようにコ−ヒ−を飲もう
そんな ちょっとした幸せなら
ぼくたちのために 24時間 用意されている
いつでも どこでも 同じ味で

パック詰めの水耕野菜を大量生産する『工場』というのは
きっと このサンル−ムのような窓辺の席に似た
ガラス張りの温室なのだろう
暖かいね 気持ちいいね 春みたいだね
ぼくたちも この陽だまりで
思うさま 愛を促成栽培しよう
ねえ 恋人よ ぼくたちはいつか
必ず 出て行くのだから
必ず 失われるのだから

ひとときの春は
薄くても それなりに
ちょっぴり苦くて
やっぱり甘くて
一杯 たったの200円だ



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