月刊カノープス通信 2001年11月号-1
──今月の詩──

    十一月 の 旋 律  

初めて秋を見る 小さな息子よ 
大きな樫の木の下に おまえと立ち止まって
樫の木の下で土に変わりゆくものの 静かないのちの声を聴こう
樫の木の中を流れる いのちの歌を聴こう
ゆっくりと朽ちてゆく 秋を聴こう

木の実が実るように重さを増してゆく カマキリの胎の充実
枯れ葉のように土に横たわる トンボの羽のかそけさ

やわらかな土の上を 
一瞬 青空のかけらが横切る
それは 小さなトカゲ

風が吹くと 樫の木のまわりに ドングリが降る
パラパラと 音立てて ドングリが降る 
ほら 雨のようだね

私の腕の中で おまえは 小さな手を伸ばし 
笑いながら 木洩れ日を掴もうとする

高い 高い空を 吹き過ぎてゆく風が 
サファイアとトパ−ズのかけらを
惜し気もなく撒き散らしてゆくから
世界はもう すっかり 透きとおる青と金色に埋もれて

小さな息子よ おまえが 初めて見る
これが十一月です




『月刊カノープス通信11月号−2(雑記)』
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