少女が通る
世界を独り占めして
少女は歩く
星に手を伸ばしたり
道端の花に触れてみたり
せいのびしたり スキップしたり
思いのままに 少女は歩く
たくさんの 欲しいもの
たくさんの 知りたいこと
たくさんの 見たいもの
測りきれない不思議と 小さな秘密
そんなものみんなを平然と独り占めして
ぜいたくな未知の中を
少女は 惜し気もなく通り過ぎてゆく
気もそぞろに よそ見なぞしながら
帰らない時間の中を
すたすたと通り抜けてゆく
そんなにも無造作な その足取りが
なんだか私を 哀しくする
窓の向こうの光の中を
さっそうと歩み去って
帰らない 少女
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