『イルファーラン物語』第四章完結記念・キャラ座談会
〜アルファードに「愛してる」って言わせよう!〜

(第四章読了後推奨)

ローイ
「久しぶりの座談会だなあ。第三回キャラ人気投票の時には座談会やらなかったからなあ。第一章の最初の頃に一回やって、第一章と第二章完結記念のキャラ人気投票結果発表の時にそれぞれ一回づつやって、これで四回目だな。で、今回は、コンセプトが決まってるんだってさ。題して、『アルファードに「愛してる」って言わせよう!』
里菜
「え? え? 何、それ?」
ローイ
「ほら、アルファードのやつ、本編で、まだ一度も、リーナちゃんに面と向かって好きだとか愛してるとか、一言も言ってねえんだよ。だから、今、ここで言ってもらおうってワケ」
里菜
「え〜っ! ほんと? ほんとにっ? きゃ〜、そんな嬉しい企画だなんて……」
アルファード
「……(イザと言う時の逃走経路を確保すべく、こっそり周囲に目を走らせている)」
ローイ
「な、リーナちゃん、聞きたいだろ? 本人の口からはっきりとさ」
里菜
「うん、聞きたい」
ローイ
「……だってよ、アルファード」
アルファード
「……いや、でも、俺は、それは、作中で言わなかっただろうか。言ったと思うんだが……」
ローイ
「いいや、それが、本文をよく読めば分かるけど、実は言ってないんだよ。俺もちょっと意外だったんだけどさ……」
アルファード
「そんなはずはない! 俺は何度も言ったぞ! はっきりと!」
ローイ
「うん、確かに、あんた、洞窟の中で『俺はあの子が好きなんだ!』みたいなこと言って、一人でさんざん盛り上がってたよな。でも、それは心の中で思っただけで声に出して言ってねえし、だいたい、あの時は、洞窟の中にあんた一人で、リーナちゃんは、その場にいなかったじゃんか。相手が居ないところで心の中で思っただけなんて、『言った』うちに入んねえんだよ」
アルファード
「いや、で、でも、俺は、たしか、魔王の部屋では、声に出して、はっきりとそれを宣言したはずだが……」
里菜
「えっ、そうだったの? そんなことあったの?」
ローイ
「ああ、たしかに、魔王に向かって大声で宣言してたな、『俺はリーナを愛している』って。でも、あんた、それは、リーナちゃんにじゃなく、魔王に言ったんであって、リーナちゃんに向かって『愛してる』って言ったわけじゃねえもんな」
アルファード
「でも、あの時は、リーナもその場に居たんだから、聞いていたはずだ」
里菜
「ええっ? あたし、それ、知らなかったよ? そんなの聞いてないよ!」
ローイ
「うん、だって、そん時、あんた、魔王の術にかかってて、意識なかったもん」
里菜
「うわ〜っ、なんでそんな大事なこと、あたしに意識がない間に言うの? 聞き逃して損した! ちゃんと、あたしに意識がある時に言ってくれれば良かったのに!」
ローイ
「というわけで、本人聞いてなかったんだし、それに、そもそも本人に向かって言ったんじゃねえんだから、あれはカウント外な。あと、魔王に殺されかけた時に『リーナ…(中略)…愛していた!』って言ったのも、心の中で言っただけだからカウント外。それに、その後、あんたらが荒野でいちゃついてた時も、リーナちゃんは男らしくきっぱりはっきり、あんたに『愛してる』って言ったけど、あんたは何も言ってないぜ」
アルファード
「うっ……そうだったろうか……? でも、もし、その言葉自体は使わなかったとしても、ちゃんと、そういう意味に取ってもらえるはずの言葉をはっきりと言ったつもりなんだが……。リーナはそれをちゃんと分かって、理解してくれているかと……」
ローイ
「そりゃあ、分かってるだろうさ。でもさ、分かっていても、それだけでなく、女の子は、ちゃんと、言葉にして言って欲しいものなんだよ。な、リーナちゃん? 言って欲しいだろ?」
里菜
「うん、うんっ! 言って欲しい!(←コブシを握り締めて力説している)」
アルファード
「そ、そういうものなのだろうか……。ちゃんと行動で示したつもりでいたんだが、やはり言葉で言わなければならないのだろうか……」
ローイ
「そうなんだよ、そういうもんなんだよ、このウスラトンカチの唐変木! というわけで、今、ここで、言ってやんな。ほら。『リーナ、愛してるv』って。チクショウ、このヤロウ、妬けるぜ……。そら!(←アルファードの背中をはたく)」
アルファード
「うっ……。そ、それは……」
ローイ
「しっかりしろよ、あんた、洞窟の中で、『今すぐに、愛していると叫びたい』とかなんとか、すげぇ勢いで脳内暴走してたじゃねえか。俺、知ってるぞ。本文読んだもん。なのになんで結局言わなかったんだ? だから、あんたも今ここで、あの時の望みを叶えておけよ」
アルファード
「いや、だからそれは、あの時だから……。ああいう、特殊な状況で、特殊な精神状態だったから……。あの時は極限状態の反動で大変気分が昂揚して、気が大きくなっていたので、もしもあの時、その勢いのままでリーナの前に出たら、勢いついでに本当に告白出来てたかもしれないが、魔王に出鼻をくじかれてそれどころではなかったし、魔王を倒した後は、なんというか、その場のノリで、もう心が通い合っていると感じていたから、そんなことをわざわざ言葉にして言う必要を感じなくて、そういえば確かに、結局言いそびれたままになってしまったらしい。だからといって今さら、物事が落ち着いて冷静になったところであらためて口に出して言えと言われても……」
ローイ
「でも、あんたがリーナを愛してるっていう、その気持ちは、ただの『その場のノリ』とか、特殊な状況で特殊な精神状態だったせいで錯覚してただけとか、そういうわけじゃなくて、本物なんだろ? 今だって、消えてなくなっちまったわけじゃねえんだろ?」
アルファード
「むろんだ! この気持ちは、永遠に変わらない!」
ローイ
「……おお〜っ、言うじゃん……(ニヤニヤ)。だったら、今からでも遅くないから、一言、『愛してる』って言ってやんなよ。ほら、リーナちゃんが期待して待ってるぜ? ここは男として一発びしっと決めるべきだ!」
アルファード
「う……(固まる)……」
里菜
「……(ご褒美を待っている子犬みたいな期待に満ちた眼差しでアルファードを見上げている)」
アルファード
「…………(ずっと固まっている)…………」
里菜
「…………(あまりにも長時間が経過したため、パタパタ振ってたしっぽがだらりと垂れてきたみたいに、だんだん不安そうになる)」
アルファード
「…………(まだ固まっている)…………」
里菜
「…………(ちょっと泣きそう……)」
ローイ
「ああ〜っ、もう、このバカヤロウ! なに固まってるんだよ! おい、リーナちゃん泣きそうだぜ! 女の子泣かしたら最低だぞ! この甲斐性無しが〜っ!」
アルファード
「………(ギクッ)」
里菜
「…………もう、いいよ。ごめん。わがまま言ってごめんね……(不自然な半笑いで、すっと顔を背ける)」
ローイ
「ああ〜っ、泣く、泣くっ、アルファードがリーナちゃん泣かすぞ〜! どうすんだよ、おい、ほら、ぼさっとしてないで、言え、今なら間に合う、ほら! 『愛してる』が言えなきゃ『好きだ』でもいいから! がんばれ、ほら!」
アルファード
「あ、あ、ああ……。(唾を飲み込み、大きく息を吸って……)…………リ、リーナっ!」
里菜
「えっ……?(恐る恐る振りむく)」
アルファード
「そのっ、あのっ、あ、あ、あ、あい、あい、あい……あい…………あい…………………(急にとても早口で)あ、藍色はとても綺麗な色だが、リーナ、君は、藍色は好きかっ!? お、俺は好きだッ!!
里菜ローイ
「……(・・;)……?」
アルファード
「………(ゼー……ハー)……言った、言ったぞ……」 .
ローイ
「『言った』って、あんた……。あんた、それ、藍色が好きだって言っただけじゃん!」
アルファード
「いいや、違う! 俺は、ただ『好きだ』と言っただけだ。『藍色が好きだ』なんて一言も言ってない! それに、ちゃんと、リーナに面と向かって、真正面から言った!」
ローイ
「はぁ〜? なんだそりゃあ? 確かに真正面だけど、だからって……」
里菜
「……ローイ、いいのよ、これで。もう、わかったから(にっこり)。アルファード、大丈夫よ、気持ちは分かったから。一生懸命言おうとしてくれたんだものね。すごくがんばってくれたのよね。ありがとう……(ちょっと目尻をぬぐう)」
ローイ
「ええ〜? あんた、あんなんでいいの?」
里菜
「うん、いいの。ちゃんと『好き』って言ってくれたし、ちゃんと分かったから。伝わったから……。アルファードはこういう人なのよ。で、あたしは、そういうアルファードを好きになったんだもの。ね、アルファード」
アルファード
「ああ、リーナ、すまない……。俺にはとうてい、ローイのように毎日大量の甘い言葉を捧げるようなことは出来そうもないのだが、それでも、こんな俺でも、君は、本当にいいのか……?」
里菜
「うん。アルファードがいいの。アルファードは、甘い言葉なんかくれなくたって、何かあったときには命をかけてでもあたしを守ってくれるって、あたし、知ってるもの。今までだってそうだったし、きっと、これからも。そうよね、アルファード?」
アルファード
「ああ、それは、間違いなく、命に換えても!」
里菜
「アルファード……」
アルファード
「リーナ……」
(見つめあう二人。もうお互いに相手の姿しか見えていない……)
ローイ
「おいおい、おいおい……。なんか二人の世界に行っちゃったよ……。俺の立場はどうなるんだよ〜。ちくしょう、あのへんにピンクのもやがかかってるよ……。なんか空中に星がキラキラしてるし。なんだよ、あれ。あ〜あ、いいなあ……。やってらんねえよなあ……。俺も早いとこ、今度こそ本気でカノジョ作るか……。よ〜し、待ってろよ。今に見てろよ。俺もやってやるぜ! ……というわけで、座談会、終わり! 第五章では俺がカノジョをゲットする番だぜ! 見ててくれよな!」 (←拳を固めて目の中にメラメラと炎を燃やしている)

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