イルファーラン物語☆創作裏話

第16回 『イルファーランの暦』の巻
(本編未読OK)

 番外編『幕間〜ユーリオンの手記〜』の末尾の日付部分で、『青の光月』という言葉が出てきます。何の説明もなく唐突に出しましたが、これは、イルファーランでの、『三の月』(この世界なら二月下旬から三月中旬にかけて)に当たる月の古い呼び名です。
 作中でも、ちょっと説明していますが、イルファーランでは、一年は冬至から始まり、一年は13ヶ月、一ヶ月は28日となっています。
 13月×28日で364日、それに古い年と新しい年の境目でありどちらの年にも含まれない冬至の一日をプラスして、実質一年365日になります。
 そして、月の呼び名は『一の月』『二の月』……と言う風になっていると説明してありますが、『そういう呼び方が定められたのは統一後で、昔は地域ごとに、気候風土に根ざした古風な呼び名があった』というひそかな設定があったのです。
 国土統一後、全国統一の暦を定めた際に、このような季節感に根ざした呼称を使うと暖かい地方か寒い地方かによって季節の実感とズレてしまうことがあるので、『一の月・二の月……』という事務的な呼称を全国標準の正式な月名として採用したが、その後も、古い呼称は、正式な公文書や事務的な書類などには使われないけれど庶民レベルや文化・文芸の世界ではそれなりに生きていて、今でも使われることがある……という設定です。ちょうど、今の日本の、旧暦の月名みたいなものです。
 で、風雅を愛し伝統を重んじるユーリオンは、公文書では無味乾燥な公式月名を使うけれど私的な手記ではわざと旧月名を使っている……という設定だったのでした。
 
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