イルファーラン物語☆創作裏話

第10回 『商業作品との偶然の類似』の巻
(第二章第五場読了後推奨)

 自分が書いていたものが、たまたま、知らないうちにある商業作品と部分的に類似してしまう――。
 これは、私だけでなく趣味で小説を書いている人の誰もが恐れることであり、オンライン作家の誰もが直面する可能性のある、困った事態ではないでしょうか。

 たとえ、自分が書いた小説が、その市販作品より十年も古いものであっても、それが最近まで自分の引き出しなりパソコンの中に誰にも見せずに眠っていたものなら、誰にも、こっちのほうが先なんだということを知ってもらいようが無いんだし、それがたまたま本気で盗作と思われるほど似ていたとしたら、それはもう、むこうが広く出版されているもので、こちらが細々とHPに載せているものである以上、通常は、どっちが古いかなんてわざわざ確めずに、無条件でこちらがまねをしたと思われてしまうのも無理ないでしょう。

 まあ、実際には、明らかに盗作だと思われてしまうほど一字一句そっくりなものを偶然書いてしまうということは、あまりないでしょうが、そこまで一字一句同じでないまでも、趣味嗜好の似た者どうしなら、たまたま似た文章を書いてしまったり、似たストーリーを作ってしまうのは、よくあることです。

 そして、『イルファーラン物語』にも、たまたま、ある商業作品と似ている部分がありました。
 それは、ひ○わきょうこさんの『彼方か○』という漫画です(検索で引っかかるといけないので伏字にしました)。私はたまたま知らなかっただけで、とても有名な作品だったのですね。
 似ているというのは、作品全体の内容のことではありません。
 たしかに、作品の基本パターンも、似てると言えば似てるけど、それは問題にならないと思います。
 ただ、ごく部分的に、自分でこれはまずいと思ったほど似た部分があったのです。

 私が『彼方○ら』と言う漫画を知ったのは、一年位前、『イルファーラン物語』を連載し始めてからです。
 『イルファーラン物語』自体は10年以上前に脱稿している作品なのですが、ネットで連載し始めて、お友達も出来、感想ももらえるようになって、ある日、感想掲示板での雑談の中で、『里菜とアルファードを想像しようとしたら、頭の中でノ●コとイ●ークになってしまった』と言われたのです。

 もちろん、その方は、類似を非難するつもりで言ったのではありません。こっちも、そういう指摘をされたとは思っていません。ただの楽しい雑談です。
 で、その人が『イルファーラン物語』を読んでその作品を連想したということは、その作品はモロに私の好みのタイプのお話なのではないかと思い、読んで見ました。
 思ったとおり、とっても好みのお話で、すごく面白かったです! この漫画を教えてもらってよかった!

 ……と、それはさておき(^_^;)
 『普通の女子高生が異世界に飛ばされて強い戦士に拾われ、恋に落ちる』という基本パターンが似てるのは、さっきも書いたとおり、別にぜんぜん構わないのです。
 もともと、『イルファーラン物語』は、物語の基本パターンとしては、とってもよくあるパターンです。わざと、意図的に、よくある王道パターンを踏襲したつもりなのですから、基本パターンが似ている作品がいっぱいあることは当然予想していたし、それはぜんぜんかまわないと思っています。

 例えば、『英雄が怪物を退治するお話』とか『貧しい若者が試練の末に美しいお姫様と結ばれるお話』とか『虐げられた少女が王子様に見初められて幸せになるお話』とか、『仲間たちが力を合わせて魔王を倒して世界を救うお話』とか『少年少女が異世界に行って、危機に瀕したその世界を救い、少し成長して帰ってくるお話』なんていうのは、誰がいくつ書いてもいい、数限りなく繰り返される物語の定型であって、それを踏襲するのは全く盗作ではないわけです。

 ただ、巻を追って読み進んでいくうちに、それだけではすまない偶然の類似を、自分で発見してしまったのです!
 それは、そのときには、まだ誰にも気づかれていなかった類似です。というのは、その部分は、当時、まだ公開していなかったからです。
 それが、今回(第二章第五場後半)の、アルファードとローイの川原での会話の部分なんですが……。
 イザ●クと、ノリ●をめぐる恋敵であるバーナダ●のとの会話と、内容が似てるのです。

 もちろん、盗作と疑われるほど似ているわけではないと思います。
 というか、自分で言わなければ、誰も気づかないかもしれません(^_^;)
 でも、読んだことのある人は、言われてみれば……と思い当たるのかも?
 表面的な言葉遣い等は違っても、会話の内容自体が、すごく似てるのです。

 それは、イザー●、ノリ●、バーナ●ムの三人の関係のパターンが似ているせいです。
 心に屈託のある男と、その男を一心に慕う純真な少女。男は、本当は少女が好きなのに、自らの屈託から、その気持ちに素直になれず、少女にぶっきらぼうでつれない態度を取っている。そして、そんな二人の間に、気のいい男友達が割りこもうとする――。

 同じような関係から同じような会話が生まれてくるのは必然的なことなので、ある意味では、『偶然の類似』ではなく『必然の類似』かもしれません。

 でも、そういう三角関係って、それ自体王道パターンですから、それが類似してしまうのはしょうがないですね。
 それに、『イルファーラン物語』をずっと読んでくださっている方は、ローイとアルファードのあの会話が、話の前後とちゃんと繋がっていて、彼らのそれぞれの人格と二人の関係に基づいていて、そこだけとってつけたものでないのはわかってくださると思うので、まねとか剽窃だとは思われないと思うのですが……。
 (というか、やっぱり私が自分で言い出さなければ誰も気がつかなかったような気が……^_^;)

『イルファーラン物語☆創作裏話』目次
トップページ
『イルファーラン物語』目次ページ