第9回 『イルファーラン温泉!』の巻
(第二章第五場読了後推奨)
第二章第五場で、里菜たちが入った川原の温泉。 実は、これは、WEB公開時の推敲で始めて登場したのです。 川原でのお湯浴びのシーンは初稿時からあったのですが、元は温泉ではなく、ただのお湯浴びでした。川原で、暖を取るために焚き火をしながら、ニーカが魔法で出してくれたお湯をかぶったり、お湯で絞った布で身体を拭くだけ。 冬の戸外の、寒い中での湯浴みなので、男二人は、面倒がって、やりません。つまり、彼ら男連中は、旅の間、一度も身体を洗わなかったのです! 汚いですね! 実際、里菜が二人に、「ほんとに浴びなくていいの? うわぁ、汚い!」などとというシーンもありました。 それが、温泉になったのは、しばらく前に、姫様@姫様御殿が感想掲示板で『プルメールに温泉はあるのか』と言う話を持ち出してくれたのがきっかけです。 その時に、(そういえば、プルメールはともかくとして、あの川原のシーンは、お湯浴びではなく温泉と言うことにすれば良かったじゃないか)と思いついたからです。 エレオドラ山は、富士山に形が似ていると言う設定です。 と言うことは、多分、火山と思われます。 と言うことは、そういえば、周囲に温泉が湧いてもおかしくないですよね! そんなわけで急遽登場した、イルファーラン温泉。 でも、普段は熊とか鹿とかが入ってそうなワイルドな自然の中の温泉で、湯の町情緒とかは、ぜんぜんありません(^_^;) ただのお湯浴びから温泉になれば、さすがに、不精な男二人も、入浴することになりました。 だって、寒い川原で裸になって身体を拭くくらいなら汚いままで我慢するほうがましというヤツらでも、目の前に温泉があるなら、とりあえず入るでしょう? 温泉の話を持ち出してくれた姫様のおかげで、あまり不潔じゃなくなって、よかったね、二人。 そんなわけで、あの後、まずローイが、次にアルファードが、カラスの行水ですが、入浴します。 ちなみに、二人が一緒に入らないのは、別に恥ずかしいからじゃありません(^_^;) 一緒に入らないのは、女の子たちを二人だけにしておくのが危険だからです。 ところで、この入浴シーン、温泉ではないにせよ、最初からあったシーンですが、別に読者サービスのためにあったわけではありません(どっちみち、サービスになるような描写もないし)。 これは、旅の途中でアルファードとローイが二人だけで会話出来る状況を作るためにやらせたことです。女の子二人に聞かれずに彼らが男同士の話をするために都合の良い状況設定が、女の子たちの水浴びだったのです。 でも、それだけでもありません。 私、普段から、ファンタジーを読んでいて、道中のシーンなどで、みんながちゃんとご飯を食べたか、食事の栄養バランスは取れているか、睡眠を取ったか、顔は洗ったか、服は着替えたか、髪は洗ったか、お風呂に入ったかというような本筋と関係ないことが気になって仕方ないという、妙な習性があるのです。 それは、私が今現在主婦であり母であるからだけではありません。主婦になる前から、ずっとそうだったのです。 普通、ファンタジーでは、そういうことはあまり書かないことが多いですね。 たしかに、特にファンタジーの場合は、こういうことは、無視してしまっていいことがらであることが多いと思います。 いちいちそんなことを書いていては、話の本筋が進まないし、ファンタジーにも神話に近いものから現実的なものまでタイプがいろいろあって、特に神話に近いタイプのファンタジーでは、そんなのは無視してしまっていいことです。 でも、現実に近いタイプのファンタジーでは、時々、生活感のある描写があるものがあって、私は、そういうのがとても好きです。神話的なのも好きだけど、ほどよく日常感のあるファンタジーには、また別の楽しみがあると思います。 だから、里菜は、旅に、下着の替えを持ってきています。タオルと櫛も持ってます。 食事はパンや肉だけでなく、ニーカが森から取ってきたフレッシュハーブでビタミンCを補給し、壊血病を予防しています(まあ、十日くらいじゃ壊血病にはならないと思うけど)。 あと、これは描写してないけど、朝は、食事を作るのと同じお鍋にお湯を入れてもらって、手と顔も洗っています。 そういうのを、邪魔だと感じるか、楽しいと感じるか、それは人それぞれと思いますが、『イルファーラン物語』を楽しんでくださっている方は、たぶん、わりとそういうのが好きな方が多いんじゃないでしょうか。 →『イルファーラン物語☆創作裏話』目次へ →トップページへ →『イルファーラン物語』目次ページへ |