第８回 『ローイを亭主にすると……』の巻
| 『アルファードを彼氏にすると……』をやったからには、ローイ編もやらずばなるまい！ ……というわけで、アルファード編からずいぶん時間が経ちましたが、今回は、『ローイを亭主にすると……』の巻。 ネタバレはないので本編未読でもＯＫですが、ローイがどんなヤツか全く知らないと面白くないから、ある程度本編を読んでからをお薦めします。 何もないところから書き下ろそうとすると、言葉に詰まってしまうので、とりあえず感想掲示板の過去ログから関連記事を発掘。 以前、感想掲示板で、ローイについて、 『天職がたくさんあって羨ましい。酒癖が悪かろうが何だろうが、食いっぱぐれだけは絶対なさそう』という感想を頂いたことがあって（ローイが里菜と『託児所』をやる場面について）、その時のレスが、こうだったんですが……。 『そうですね。仕事にあぶれることはなさそう。器用だし、愛想もいいし。 でも、お金が入れば入るだけ使ってしまうし、余裕が出来るとたちまち怠けてしまうので、常に自転車操業の、その日暮らし状態でしょうね。 その割には、本当にどうしようもなくなったら何とか稼いでくるので、本人、危機感なし。 一生、能天気極楽トンボ綱渡り生活を続けそう。 何もなければそれはそれで一生楽しく生きていけるかもしれないけど、ちょっと運が悪くて、一歩躓くと、たちまちどん底へまっ逆さま。 これはぜひとも、しっかり者の奥さんが必要ですね。』 それから、別の方から、『高度な魔法の使い手で、弓の名手で、剣もそこそこで、子供に好かれて、歌も上手い。ある意味完璧な人間ですね』という感想も頂いたことがあり、その時のレスが、これ。 『……そういわれてみれば、そうですね。そうやって、良い部分だけ取り出してみれば。 でも、それに、働くのが嫌いな怠け者で、酒癖と女癖が悪くて、お調子者で、気まぐれで、自惚れやで、軽薄で、いいかげんで、服のセンスがヘンで、大喰らいで、ついでに実は喧嘩や賭け事も大好きで浪費癖あり……という実態を加えると、一気に点数がた落ちですが(^_^;)』 ……でした。 あ、こういうのもみつけました。 『アルファードとローイだったら、ローイ派かな？ でも結婚するとしたら、やっぱりアルファードか。うう、現実的。』に対するレスが、 『ローイと結婚すると、調子のいい時は毎日楽しいけど、いろいろ苦労もしますよ〜！ アルファードなら、面白みには欠けるけど、一生、安泰です。 苦労も楽しみも両方多い変化に富んだ人生と、面白みには欠けるけど安全で安定した堅実な人生と、さあ、どっちを取るかってとこですね。』 ……なんか、もう、これだけで、ローイを亭主にするとどういうことになるか、大体お分かりいただけると思うんですが……(^_^;) お嬢様方、こういう男にうっかりほだされてはいけませんよ！ でも、困ったことに、こういう男を、ふと可愛く思っちゃって、ついほだされてしまう女性って、多いと思うんですよね(^_^;) ローイは、そういう、よくいる困った男の一典型ですね。 ね、いるでしょ？ こういう男って。丸々全部その通りじゃなくても、部分的にこういう要素のある男って多いでしょ。 もしかして、アナタ（……って誰？^_^;)の元カレの中にも、一人くらい、このタイプがいませんでしたか？ ローイは、いいヤツです。すごくいいヤツです。親切だし、優しいし、気配りもあるし、サービス精神旺盛だし、一緒にいると、絶対すごく楽しいです。 気のある相手であろうとなかろうと関係なく、女の子を楽しませるためならなんでもしちゃう、お笑い系のお調子者です。もう、無条件で、本能的に、女の子なら誰にでも優しいし、誰でも楽しませようと頑張っちゃうのです。 下心があってもなくても、このサービス精神は変わりません。 だから、お友達にしておくには最高です。 そして、とりあえずお友達としてキープしておけば、本命に振られたときなどには、呼べばいつでも飛んできてくれて、いくらでも優しく慰めてくれます。 そこで弱みにつけこまれたりする危険もないし、双方合意の上で何かあったとしても（←何かって、何……？）、こちらがそれ以上をのぞまなければその時限りで後腐れもありません。 便利な男ですね〜！ 究極のキープ君（死語？）です！ ただし、みんなと共有ですよ。 また、ローイは、とても魅力的です。 顔もいいですが、それだけじゃない。 ヤンチャで寂しがりや、いきがってるけど繊細そうで、ほっとけない。 スケベで軽薄かとおもうと思わぬ純情さや真摯さをかいま見せてハッとさせてくれたり、ただのバカかと思うと実は思わぬ聡明さ、洞察力も持ち合わせていたり、スレてるようで時おり少年のようなはにかみや純朴さを覗かせたりして、ふいうちでドキッとさせてくれます。 そんな経験をした女性の多くは、自分だけが特別にこの男のそんな一面を知っているのだと、ついうっかり思い込んでしまいます。 おどけたりいきがったりしているけれど本当は純粋で繊細で寂しがりやのこの人には、それを理解してあげてるあたしがついていてあげないと……なんて、うっかり勘違いしてしまいます。 いけませんよ！ へたすると人生を棒に振ります(^_^;) でも、ローイは、わざと、計算してそういう風にしているわけじゃないのです。みんな、地でやってるだけ。 生まれついての天然女たらしです。 小さい頃に母親を失くして何人もいる年の離れたお姉さんたちによってたかってかわいがられて育てられた彼の経歴が、その才能にさらに磨きをかけたかもしれません。 そのわりに村では報われていませんが……(^_^;) ああいう、生まれたときからの知り合いばかりの地に足の着いた土地柄では、彼のせっかくの女タラシの才能もあまり使い道がないのです。 彼の秘めたる才能（？）は、本人が言うとおり、都会という舞台を得てこそ花開きます。 そんな彼の天職は、ずばり、『ヒモ』です(^_^;) ローイは、優しいです。マメです。サービス精神旺盛です。気配りがあります。甘い言葉を出し惜しみしません。女性の機嫌をとるためなら、言葉に限らず、あらゆる努力を惜しみません。 経済的にも精神的にも自立した、一人でも生きて行ける女性が、人生の彩りとして一時の慰めを彼に求めるのなら、彼は、その人生に、文字通り極彩色の彩りを添えてくれるでしょう。乾いた人生に笑いとトキメキをもたらし、疲れた心を癒してくれるでしょう。 ただ、自分だけのものにしておこうと思ってはいけません。独占欲を見せると逃げられます。 手のひらの上で遊ばせてあげるだけの度量を持ちましょう。 が、『ヒモ』とか『若いツバメ（ものすごく死語？）』なら最高だけど、決して亭主には向きません。 まず、彼は絶対に浮気をします。奥さんに対しても、釣った魚に餌はやらないなんてけちなことは言わずに甘い言葉や熱いくちづけを惜しみませんが（愛想はいくら振りまいても減るもんじゃありませんから……）、それ以外の女性にも、分け隔てなく甘い言葉と愛想を振りまきます。うわ、サイアク……(^_^;) また、こいつには、責任感と大人としての自覚が足りません。まだ19ですから、あちらの世界ではもう大人とはいえ、大人の自覚があまりないのも無理はない年頃ですが、コイツに限っては、年齢に関係なく、たぶん一生、そのままです。 そして、堅実さに欠けます。 一言で言うと極楽トンボです。 しかも、こいつの極楽トンボは、たぶん、一生、直りません。どんなに苦労しても、きっと直りません。 彼は子供好きだし、楽しいことが好きでサービス精神旺盛なので、うまくいってるときはすごく楽しい家庭を作るけれど、それはただ自分が子供と一緒になって楽しんでいるだけであって、一家の大黒柱としての責任感などろくに持ち合わせていないので、何か問題があって家庭が彼にとって楽しい遊び場でなくなったとたん面倒がって全く顧みなくなり、奥さんにすべてを押し付けたまま外を遊び歩くようになる可能性もあります。 遊び歩くどころか、ある日、突然、ふらっと出て行ってしまうかもしれません。そして、諦めかけた頃にけろっとして帰ってきたりします。『父帰る』……というより、『放蕩息子の帰還』って感じ？ ……うわ、自分で書いてて、こりゃサイアクだわ……(^_^;) そして、何よりも、彼が亭主では、経済的安定は全く望めません。 彼は多芸多才で小器用で、要領も人当たりもいいので、とりあえず、いざとなれば何とかしてお金を作れます。 そのために、かえって、いざとなったらなんとかなるさで、普段は真面目に働きません。 たまたま面白いと思う仕事に出会えばすごく一生懸命やるかもしれませんが、遊びと仕事の区別をつけません。面白くなくても辛抱強く地道に働こうなどという気は、さらさらありません。運がよければ一山当ててしばらくは豪勢に遊べるかもしれませんが、稼いだら稼いだだけ浪費して、後には何も残りません。運が傾いてくると、一気にどん底です。浮き沈み、当たり外れが激しい山師人生です。でも、本人、どん底でもけろっとしてるでしょう。 ……やっぱサイアクだわ、こりゃ……(^_^;) そんなローイを亭主にするためには、まず、いざとなったら自力で暮らしを立てられる才覚と、逆境に耐える強さや忍耐力が必要です。無責任な甘言を信じて彼を当てにしていてはいけません。 また、どんなに奥さんを愛していても浮気は絶対とまらないので、遊びの浮気なら、反省を見せられたら内心はともかく表向きはとりあえず許してあげちゃうほどの心の広さが必要です。 でも、それは主に、たちの悪い刺激に富み、かつ貨幣経済が発達した都会生活の場合。 自給自足に近いイルゼール村のようなところでなら、彼も、そんなにヘンな道は歩まないでしょう。せいぜい、ちょっと怠け者でお調子者でオツムの軽い困ったバカ亭主、程度でしょう。 多少怠け者でも、今世話をしないと死んでしまう家畜がいれば世話はするでしょうし、今蒔かなければならない種は蒔くでしょう。畑仕事は、常に必要に迫られているものなので、彼にもあまりさぼりようがないでしょう。 また、不健全な夜遊びをする場所もないし、浮気するチャンスも、そうそうは巡ってこないでしょう。 そんなわけで、イルゼール村でなら、ローイとその奥さんは、それなりに穏やかに暮らせる可能性大です。 それでも、彼を亭主に出来るのは、よっぽど芯の強い、超しっかりものだけということに変わりはありません。 なにしろ、ローイの奥さんは、自分のお腹を痛めた大勢の子供（ローイは子供好きで楽天的でスケベで計画性がないので、きっと、むやみやたらに子沢山の家庭を作るでしょう……）のほかに、もう一人、身長１９０センチ超の大きい子供もまとめて面倒見てやらねばなりませんから。よほどしっかり者で、かつ、心が海のように広い、忍耐強く慈愛に溢れた聖母のような奥さんでないと……。 まあ、とりあえず里菜にはローイの奥さんは務まりませんね(^_^;) →『イルファーラン物語☆創作裏話』目次へ →トップページへ →『イルファーラン物語』目次ページへ |