マスターズ(参戦記)


 午後8時、本日最後の組、40代男子の試合が始まった。本番前に5分間の練習時間がある。私を含む8人のスケーターは、氷上にとびだした。

 ウォームアップのため数回リンクを周回したあと、私はもっとも不安のループジャンプを跳んでみた・・・。うまく着地した。

「調子いいかも・・・」

 スピン、ステップをやってみた。まずまずだ。氷もこの前の整氷後に、2組、20人以上が滑ったにしては、きれいでよく流れる。

 練習時間が終わり、1番の選手から演技が始まる。私の出番は最後の8番めだ。 


 当文章は私が、2004年5月15日に行なわれた「フィギュアスケート・マスターズ・チャレンジカップ」に出場したときの体験記である。

 社会人になってから始めたフィギュアスケートも16年め。横浜にある「ハマボウル」というスケートリンクで、一度も途絶えることなく続けてきた。こつこつ滑って、自分なりの満足を得てきた。そんな私が、初めて観衆の前で演技を行ったのである。



話は続く