この文章は1999年頃に書きました。
その結果,スケートの面白さは,人間を人間たらしめる本質的な要素と関係があるのではないか,という考えに至りましたので,報告させていただきます。 (かなり冗談で書いています)。 題して…… スポーツを,二つに分けると,対戦型のスポーツと,非対戦型のスポーツがあると思います。対戦型のスポーツは,一対一あるいは集団対集団など,いろいろな形はありますが,敵というものが存在していて,直接的に敵と交戦して勝負を決めるタイプのスポーツです。格闘技はまさにこれであり,球技も多くは対戦型です。 一方,非対戦型のスポーツとは,直接ライバルと直面して戦うのではなく,競争という形で勝負が決まるタイプのスポーツです。フィギュアスケートはこちらですね。フィギュアの他には,陸上競技,モータースポーツ,冒険などもこれに入りましょう。 非対戦型スポーツでは,場合によっては,競争者が存在していなくても,そのスポーツ自身が成立します。対戦型のスポーツでは,トレーニングとして以外には,対戦を行なうその時その場所に,敵の存在なくしてはそのスポーツ自体が成立しません。 何かのことを情熱を持って人に行なわせるには,何らかの欲望,渇望といったものが必要ですが,人をスポーツに向かわせるのも,何か大きな力が必要であると思います。 昔むかしの原生動物の時代から,生存競争は生物に必然の出来事であり,魚類,両生類,爬虫類と進化をしても,闘争本能は生き残るための基本的本能です。闘争本能は動物の遺伝子に常に書き込まれていたわけであり,我々人間の遺伝子にもしっかり記録されています。 では,非対戦型のスポーツには,人をその競技に強い熱情で向かわせるエネルギーが,何かあるのでしょうか?
フィギュアスケートをやっていて,その醍醐味の一つとして,上手にバランスをとるのが楽しいというのがあります。 バランスをとるのがその種目の最重要点であるスポーツを他にあげると,スキー,スノボー,サーフィン,スケボー,自転車,バイク,体操,………。 我々人類は,猿から進化しました。猿は,歩くとき後ろ足と前足の両方を使って,いわゆる,四足歩行をします。その猿が,後ろ足二本だけの,すなわち二足歩行をするようになって,その結果,手があき,道具を使い初め,知能が発達し霊長類に進化していったことは,皆さんご存じですね。 最初の猿が,後ろ足だけで歩き始めた理由は,何かそうしなければならない環境要因が有ったのでしょう。私はその理由は何なのかは知りませんが,何かそうしなければならない理由が有ったにしろ,それを続けていくのは,大変なことだったはずです。二足歩行(線で支える)より,四足歩行(面で支える)ほうが安定するのは当然ですから,二足歩行を強いられるような事態になったら,早々とその場を立ち去って,四足歩行のままでいい場所に移ってしまえばいいのです。動物(うごくもの)なんですから・・・。 もしここに, その猿は,次の日もその次の日も,バランスをとることが楽しいので後足で歩き続け,二足歩行でないと生きられない環境に適応していきます。四足歩行でも,かまわない他の土地へと移ることはないでしょう。 スケートは,なぜ楽しいのでしょう? 私にはその理由がわかりました。 |