それぞれの街にあるダルバール広場の寺院だと、どれも同じような建物で見飽きてしまうということは前節でも述べたが、もちろん全てがそういうわけではない。ここでは、ぜひ見ておくべきという3つの寺院を紹介する。どれも世界遺産に登録されている特徴のある寺院だ。おそらくカトマンズ盆地のツアーでは必ず訪れる寺院と思われる。
■スワヤンブナート

ネパールといえば、仏教の寺院にはブッダの目が描かれているということが大きな特徴として挙げられる。ひょっとしたら、ブッダの目=ネパールの寺院 という特徴を世界に周知させた始まりは、この寺院からなのかもしれない。それくらい観光として有名な寺院だ。ネパール最古の仏教寺院でもある。

朝のほうが、信者が多くて最も賑やかと思われたので、早朝にホテルを出発して出向いてみた。カトマンズの中心部からはおよそ2kmくらいの距離なので、徒歩でも行ける場所だ。早朝だから、パタンのように暑さで苦しむことはない。チェトラパティ・チョークを越えると、途端に静かな田舎の光景になる。交通量も少ないので排気ガスの臭いも気にならずに気持ちよく歩ける。スワヤンブナートへ朝向かう場合は、徒歩で向かうことをおすすめしたい。でも最後の長い上り階段はちょっと大変だけどね(…8年前に来たときはこんな階段上ったかな? 全然記憶にないな)。


寺院のふもとの光景
寺院はすでに信者達が集まって賑わっていた。仏塔の傍のパティ(巡礼者のための宿泊施設)の中では、楽器を演奏し、歌を歌っている信者たちがいた。一瞬何かのお祭りなのかと思うほどの賑やかさだ。毎日繰り返されているのだとすれば、その信仰心の篤さに驚かされる。



ストゥーパの正面には大金剛杵(だいこんごうしょ)が置かれている。金剛杵はチベット仏教で使われる法具のひとつである。

これはチベット仏教でも有名なマニ車。経文が書かれており、右回りに1回廻すと、お経を1回唱えたことになる。
ちなみにスワヤンブナートは、別名モンキーテンプルといわれるだけあって野生のサルを多く見かける。食べ物などをむやみに持ち歩かないほうがよさそうだ。
■ボダナート

スワヤンブナートの階段でやっぱり疲れてしまったので、ボダナートへはスワヤンブナートの前にいたタクシーをつかまえて直接向かった。

ドライバーとは値段交渉をしたつもりであったが、それでも結構ぼったくられていたことが、後から相場を調べて分かった。どうやらスワヤンブナート前にいるタクシーはやめたほうがよく、流しをつかまえたほうがよさそうだ。

ボダナートは巡礼地でもあり観光名所である。そのため、円形のストゥーパを囲むようにレストランやカフェ、土産物屋が軒を連ねている。


ボダナートにもマニ車はあるが、ここはかなり巨大なものだった。

五体投地をしている信者もいた。チベット仏教ならではの光景だ(決して倒れているわけではない)。
他のストゥーパと異なり、階段が備え付けてある。それを上るとドームの前に出て、ブッダの目を間近に見ることができる。このブッダの目のデザインって何かすごく惹かれる。なので、お土産にもブッダの目を描いたステッカーを買った。
■パシュパティナート

こちらはヒンズー教の寺院。ガンジス河の支流であるバグマティ河沿いに建てられている。ガンジスと聞くと、火葬をしてその灰を河に流すのを思い浮かべる人が多いだろう。この寺院ではまさにそれが行われている。

私が訪問した時も火葬が行われていた。しかし、燃やした灰を流すはずのバグマティ河はほとんど水がなく干からびた状態となっていた。灰を流しすぎたのかもしれない。ここまで干からびているとガンジスの恩恵がはたしてあるのかどうか、疑問なところではある。


火葬場

パシュパティナートでは、自分の顔を染料で塗りたくったサドゥーを見かける。サドゥーとは、ヒンズーの修行僧のことで、家や名前など全てを捨てて出家し、修行の旅を続ける人のことだ。インドでもよく見かける。しかしこの寺院にいるサドゥーは本物なのかどうか疑わしいと言われていて、観光客に自分の写真を撮らせてあげる代わりに高いお金を要求し、それで生活しているという者もいるのだそうだ。よく声をかけられるが、あまり相手にしない方がよさそうなのかも?
火葬場の裏は森になっていて、遊歩道が整備されている。歩いてみると、そこに流れているバグマティ河の上流域はちゃんと水が流れていた。やっぱりあの火葬場近くのバグマティ河は灰を流しすぎなんだな。河では子供たちが水遊びを楽しんでいた。気持ちよさそうだった。

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