■シティに戻る

オアハカには4日間滞在し、4日目の夜には飛行機でメキシコシティに戻ってきた。シティには遅い時間に着くことが分かっていたため、あらかじめ空港そばのホテルを予約しておいた。しかしながら空港近辺のホテルってのは、どうしてこう値段のはるホテルばっかりなんだろうか。でも部屋は相応にすばらしかったけどね。


ホテルからみたメキシコシティの国際空港
実は最後にシティ滞在の日を丸1日おさえておいた。本当なら最初から最後までオアハカに滞在するのもよかったのであるが、個人的に見ておきたい遺跡がシティの近郊にあったからだ。その遺跡とはテオティワカン遺跡である。あまりにも有名なので、知っている人は多いだろうが、ラテンアメリカ最大の都市遺跡である。メキシコに来たのなら、やはりここは行っておきたいと思ったため、シティへの恐怖感を拭えない状態ながらも、寄り道をしたのである。

テオティワカンへは、シティの北方面バスターミナルからバスが出ている。バスターミナル内は広く、たくさんのバス会社のブースが並んでいるが、テオティワカン行きのバス会社は、看板にピラミッドの絵を掲げているので見つけやすい。そのブースへ向かい、「ピラミデ(スペイン語でピラミッドのこと)」と言えば容易にチケットがゲットできる。1時間ほど走れば遺跡に着く。

■古代都市テオティワカン

テオティワカンは、紀元前2世紀ごろに、テオティワカン人と呼ばれる人々によって建造されたと言われている。計画的に設計された宗教都市で、南北5kmに渡る壮大なものだ。最盛期には20万人もの人々がここで生活を営んでいたとされる。

あまりにも有名な遺跡で、メキシコの遺跡巡りツアーでは必ず訪れるであろうハイライト的な存在である。細かい説明は他の文献の方が詳しいだろうからそちらに任せることにして、結論から言うと、メキシコに来た際はぜひ訪れておきたいおススメの遺跡である。規模が他の遺跡とは明らかに違う。またこのテオティワカンの都市設計が、後のマヤ文明や、アステカ文明への礎になっているという点で、歴史学的、建築学的にも貴重だろう。

遺跡の南に位置する、ケツァルコアトルの神殿。ケツァルコアトルとは、水や農耕に関わる神のことを指す。この神殿の前面には、そのケツァルコアトルのレリーフを見ることができるらしい。うーむ、でもそう言われても、どれがそうなんだろう…??
ケツァルコアトルの神殿から月のピラミッドまでは、死者の道とばれる道でつながっている。その長さおよそ3kmもある。ピラミッドを見学するには、そこまで歩いていかなくてはならない。聞いたところによるとツアーの場合は、神殿を見学した後に、バスなどでピラミッドのところまで乗せて行ってくれるらしい。こちらは個人旅行で来てる身だから仕方ないが、炎天下で観光していることを考えると、そういうときにはツアーの方がうらやましく感じる。ちなみに下の写真の右前方に映ってる大きなピラミッドが太陽のピラミッド、そしてこのまっすぐの道に向こうにうっすらと映ってるピラミッドが月のピラミッドである。そう、あそこまで歩いていかなくてはならない。大変だ。
ひたすらずっと死者の道を歩いて行き、太陽のピラミッドに着く。高さ65mもある巨大な神殿で、テオティワカンの中で最大の建築物だ。宗教儀礼のために建造されたと言われている。見てみると、観光客が皆このピラミッドの頂上に登っているので、私もせっかくだから登ってみることにした。

太陽のピラミッド(階段多すぎ)
しかし、階段が急なせいだろうか、日ごろの運動不足のせいだろうか。登るのに結構苦労した。ゼーゼーハーハー言いっぱなし。頂上に着いたときには足もガクガクだった。でもこの場所から見るテオティワカンの全景はすばらしかった。月のピラミッドを俯瞰できる光景は絶好のシャッターチャンスだ。…ただ、その反対方向の景色を望むと、住宅やビルなどの市街が見えるのだが、かなりの量のスモッグが発生している。シティを含むその近郊が、いかに大気汚染に侵されているかが分かる。

太陽のピラミッドの頂上から見る月のピラミッド
太陽のピラミッドを登るのに、体力を使い果たしてしまった。なので、月のピラミッドに登るのはもうあきらめた。こちらは太陽のピラミッドの次に大きな建造物。同様に宗教儀礼のために建造されたそうだ。

ガイドブックによると、この月のピラミッドの上からが、遺跡の中で一番眺めがいいと書いてあるけれど……スミマセン、もうムリでした。飲み水を持ち歩いていなかったのもマズかったか。


月のピラミッド
この遺跡には謎が多く、いったいどこからテオティワカン人なる人々がやってきたのか、またどうしてこれほどの都市国家が8世紀頃に滅亡してしまったのか。そのようなことは一切解明されていないそうだ。でも個人的には、それは単なる崩壊ではなく、もしかしたら新しい文明発展への布石だったのではないのかと思う。後に発展した文明だって、実はテオティワカンとおなじ人々が関わっているのかもしれない。そう考えると、逆にロマンが感じられるね。
テオティワカンにもサボテンがあった
■シティをちょっとだけぶらぶら

テオティワカンを離れて、昼過ぎにシティに戻った。

シティでは特にこれといった観光はしなかったが、もうちょっとだけお土産を買おうかなぁと思い、ソカロとソナ・ロッサの間くらいにある民芸品の市場へ向かった。ちょいと怖かったが、まあ昼間なら大丈夫だろうと思い、地下鉄にも乗ってみた。私が利用したのはメトロ3号線と5号線(5号線は地下鉄という割にはずっと地上を走っていたが…)。まあ乗ってみた感じは、いたって日本と変わらない普通の地下鉄だった。乗り換えのときにひたすら構内を歩かされるのも、なんだか東京の地下鉄に似ている。日本と違うのは、やかましい音楽を流して車内を歩く物売りがいたことくらいかな。

私が訪れたのは、シウダデラ市場と呼ばれる観光客向けの民芸品市場。確かにここは多数の外国人観光客がいた。私はここで、グラスとメスカルのミニボトルが、小さなソンブレロの中に入っているセットを購入した。もちろんメスカルは芋虫入り。実際に飲めるものだそうだが、おそらくオブジェとして飾っておくために作られているもののようだ。どこにでも売っていそうなモノで、はたしてわざわざこの市場で買う必要があったのかどうかは微妙だが…まあいいか。
ウワサには聞いていたが、シティの大気汚染ってやっぱりヒドイ気がする…。ちょっと外に出ていただけで、頭痛がし始めたのだ。いや、もしかしたら暑さからきた頭痛かもしれないが、この空気のひどさも相乗しているかもしれない。あんまり日中でも外に出ないほうがいいかな…と思い、その日のそれ以降は、ホテル内に滞在したり、空港内のレストランで食事したりして過ごした。

■オアハカ旅行

2〜3年前あたりからだろうか、私の旅のルーティングがずいぶん変わった。以前は街から街へ、1日単位でちょこまかと移動していた旅だったが、最近はひとつの街にずっと滞在し、そこを基点として近郊を観光するという旅が多くなった。やっぱり日ごろ忙しいので、1つの場所でゆっくりと過ごしたいという思いが強いのかもしれない。とは言え今回のメキシコの場合、「ゆっくりする」=「1日中酒を飲む」ということになってしまうのがツライところである(←いや、確信犯ですけど…)。でも何も考えずに昼酒できるってのはすばらしいことだね。

今回、オアハカを中心に旅をしてみたが、ずいぶんと旅行(滞在)しやすい街で非常に満足できた。治安もすごくよかったし、料理や酒も美味しかったし、モンテ・アルバン遺跡などの世界遺産もある。今回は行かなかったが、もう少し足を伸ばせばミトラ遺跡という遺跡や、絶景が見れる渓谷地帯もあるのだそうだ。また、毎週各曜日に開催される近郊の村のティアンギスなどで、その土地に暮らす人々の生活を見てみるのも面白い。オアハカはおススメの地域と言えるだろう。

「メキシコ・オアハカの旅」 完
【2008年5月記録】


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