§8  ブルーが映える (シディ・ブ・サイド)

チュニジア滞在6日目。朝早く、ジェルバ島からチュニスへの国内便に搭乗するため、ジェルバ国際空港へ向かいます。ツアーはもう終了しており、ジェルバ島で現地解散ということなっていますが、チュニスに戻る手段を自力で確保することが困難だったため、同じ旅行会社に航空券をあらかじめ手配してもらっていたのです。

時間的に都合のいい公共交通手段がなかったので、空港へはタクシーで向かいます。ツーリスティック・ゾーンから空港へはかなり遠いため、所持金30ディナールで無事着くのかどうかハラハラしましたが、20ディナールちょっとで足りました。危ねぇ、助かった。

空港内でキャッシングできる銀行がないか、ひたすら探してみました。すると…な、なんと、クレジットカードでキャッシングできるATMがあるじゃないですか。これは神のお助け! そして、画面はフランス語表記で意味不明でしたけど、100ディナールをキャッシングすることに見事成功しましたよ。よおーっし、100もあれば十分2日間滞在できます、お土産も買えます、うまいメシも食えますよ! 助かった〜。さすがリゾート地の空港ですね。田舎の街で所持金が底をつかなくてよかったですよ。懐が豊かになった嬉しさのあまり、早速私は空港内のカフェでカフェオレすすっちゃいました。(←こういう無駄遣いがホントは根本的によくないんだけどな)

時間になったので飛行機に搭乗。またも機体はプロペラ機でした。1時間ほどのフライトで首都チュニスへ、そして空港からタクシーに乗り、メディナに到着です。メディナ、また戻ってきましたよ。

さて、今夜に限ってはホテルは決まっていません。なので久々、自分の足でホテル探しです。1日目にメディナの中を歩いていたとき、よさげな安宿を見つけていたので、そこに行ってみます。ホテルのオーナーと交渉してみると、どうやら部屋は空いているようなので今日のホテルはここに決定です。部屋も清潔で合格点でした。

荷物を置いた後はさっそくまた街を散策。1日目はチュニスのメディナばかりを歩いていましたが、今日はチュニス郊外の街へ出かけてみることにします。ガイドブックでシディ・ブ・サイドというきれいな街があるという情報を見つけていたのでそこへ行ってみることに。

チュニス・マリン駅から郊外電車(TGM)に30分ほど乗車し、チュニス以北17kmの場所にあるシディ・ブ・サイド駅で下車です。駅前の広場を通って丘を上っていくと、白と青を基調としたきれいな建物群が目に飛び込んできました。うわー、きれいな街だ。


駅近くの街並み

もともとこの街は、この地に侵攻したアラブ人によって造られた要塞の街だったのですが、現在では郊外の別荘地となっているようです。地中海が近いからというのも、別荘地として栄えた理由のひとつなんでしょうね。


メインストリートはお土産屋が多い

私がここにやってきたのは昼過ぎだったので、外国人観光客がいっぱいでしたが、しかし賑やかなのはお土産屋さんやカフェが並ぶメインストリートだけで、道を外れて路地に入ると非常に静かで心地よい光景を堪能できます。チュニジアの街並み保存区域に指定されている街だけあって、人通りが少ない場所であっても、白と青が映える建物をちゃんと見ることができました。要塞の街ですから、ここも路地が入り組んでいて、迷路みたくなっています。例のごとく、路地たる路地をクネクネと歩いてみます。別荘地と謳われていても、路地を歩くとやはり居住区みたいな場所はあるようで、住人が洗濯物を干していたり、子ども達が遊んでいたりする光景が垣間見れます。いいなあ、こんなところに定住してるなんて。私も一度でいいからこんな街に住んでみたいものですよ。

  

  

  

  
居住区の光景

メインストリート沿いにはアラブ伝統様式の個人邸を博物館にしていた場所があり、その屋上はシディ・ブ・サイドの街並みを一望できるパノラマスポットになっています。今日はちょっと残念ながら空が曇っていましたが、晴れていたら太陽光に反射されて、より白と青が煌びやかに見えたかもしれませんね。


パノラマスポットからの眺め


路地にひっそりとあったホテル
(ここに泊まってみてもよかったかも)


この街では猫をよく見かけました

ここは主に街並みを見るだけで、他に見るべき所というのはないのですが、私ったらこの街に何時間も滞在してしまいました。本当はこの後、世界遺産であるカルタゴ遺跡を見に行く予定だったのですが、時間がなくなってしまいました。…まあいいや、私はこの街並みが見れただけでも十分ですよ。

夕刻になったので郊外電車に再び乗り、チュニス市内に戻ります。そろそろお土産を買おうと思い、市内のスーパーマーケットに立ち寄ります。最近はお土産といえば、私はお土産屋さんよりもこういったスーパーで買うことが多くなりました。私の周りの人間は食べ物などのお土産を好む人が多く、その場合はムダに高くて現地の人があまり食べそうにないモノよりも、安くて現地の人に浸透しているモノの方がいいんですよね。で、いろいろ物色して数品のお菓子を購入です。何だか得体の知れないモノも購入しちゃいましたが、まあ私が食べるんじゃないのでこれで万事OKです。(←酷)

このあとは、またチュニスのメディナを散策したり、街中のカフェで現地の人と並んでビールを立ち飲みしたり、ちょっと高級っぽいレストランでチュニジア料理のコースメニューを満喫したりと、最後のチュニジアの夜を満喫したのでした。ところでチュニスのメディナのスークってすごいですね。夜になっても営業している店がたくさんありましたよ。他の国ではスークというと昼には閉まっちゃうイメージがありましたが、こちらは夜でも賑やかでした。

チュニジア滞在7日目。この朝はチュニジアに来て初めてのを迎えました。チュニスは地中海性気候なので、日本のようにしとしとと長く降るみたいです。

今日はもう帰国する日です。帰国便は午前便なので、この日は朝早く空港に移動するだけの日でした。空港へ向かうにはタクシーで移動する必要があるのですが、これが結構大変でしたよ。チュニス市内の道路はタクシーだらけなので、すぐにつかまるかと思ったのですが、あまり公共の交通機関が発達していない街だからでしょうか、朝のラッシュの時間帯は空車が全然見つからないのです。おかげで長い時間タクシーを街中で探す羽目になりました。ようやく乗せてくれるタクシー捕まえたときには、雨で荷物がずぶ濡れ状態。お土産とかは大丈夫だろうな?

さて、とうとう旅の終わりです。今回は砂漠地帯の街を主に旅してみましたが、私、砂漠が好きになってしまいそうですよ。チュニジアだけでなく、もし他の国に行った際、そこにも砂丘やラクダなどがあるのならば、また見たり乗ったりしてみたいと思いました。そしてもちろんチュニジアは砂漠だけではありません。ヨーロッパの影響を受けた地中海沿岸の街も楽しませていただきました。ヨーロッパとアラブが融合した世界ってのもなかなか独特な雰囲気があってよかったですよ。

また今回、このような苛酷な環境にもかかわらず、人間やその他の動植物がたくましく生きる光景を見て純粋にスゴイと感じました。洪水や砂漠化の被害に遭っても、こうやって生命はがんばって生きていけるんですよね。同時に、ただ感銘を受けるだけではなく、その災害の根本となっている問題を追求して解決すべきであるということも、我々は忘れてはいけないのだと思いました(←こういうことを現地に来なければ感じなかった自分というのも、ちょっと恥ずかしくなっちゃいましたね…)。

この国にはまた来て見たいですね。今回は地中海沿岸と南部地域だけでしたが、中部地方にも見所があると聞きます。今度はその辺り(特にスースや古都ケロアンなど)も攻めてみたいです。また長期の休暇が取れたらの話ですけど…。

飛行機はパリのシャルル・ド・ゴール空港へ。そこからまた長時間の乗継便に搭乗し、翌日の昼、成田に無事到着です。そしてさらに夕刻発の国内便で名古屋に戻りました。…そういえばよく数えてみたら、今回の旅って、飛行機に8回も乗ってるんですね。なんちゅう旅だ。

チュニジア旅行記。これにて完。


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