§5  ナマステ〜ッ (カトマンズ)

今日がネパール最終日。本日ここを発つわけですが、実はフライトスケジュールの都合上、ここには午前中しか居ることができないのです。ですから早めに起きて、中心部でまだ歩いていない所やもう一度行きたい所を、徹底的に歩いてみようと思います。聞くところによると、アサンよりも北の方向にタメル地区と呼ばれるツーリスト・エリアがあるそうなので、まずはそこに行ってみることに。

いつものにぎやかな場所であるアサンからタヒティという広場を抜け、途中またチャーと揚げパンで朝食を取りながら北へ向かいます。するとだんだん外国人の姿が多く見られようになり、また店の看板も英語で書かれたものが多くなってきました。さっきまでの光景とは一変です。どうやらここがタメルのようですな。さすが観光客が集まる場所だけあって、安宿はもちろん、両替屋、みやげ物屋、スーパーマーケット、インターネットカフェなどがずらりと並んでいました。私が訪れた時間が早かったせいか、まだ閉まってる店が多かったですけど、一方の路上販売の店はもうすでに営業を始めていました。

  
タメル地区

しばらくこの地区をぶらついてみることにします。当然ながら、観光客が多い所には客引きも多く集まります。このあたりは、リキシャー(人力車のタクシー)がウヨウヨとホテルなどの周りをたむろってたり、しつこいキャッチセールスがいたり、子供達が物乞いのために集団で外国人に近づいていったりと、なんとも混沌とした状況になっていました。キャッチセールスの中には、ネパール特有と思われる小さな弦楽器を「ナマステ〜ッ」と近づいて売りつけてくる連中がいました。一体誰が買うんだそんなモン。しまいには、「ナマステ〜ッ、ワタシタチトモダチ。ハッパ、イリマセンカ?」と言ってくる奴もいます。…トモダチにそんなもの売りつけるなっての。

1時間ばかりかけてタメルをくまなく歩きましたが、やっぱり個人的には先日まで歩いてた庶民のバザールの方がいいですね。ここは安宿街だけに外国人が多く、そのせいかネパール独特の活気がないんですよね。…というわけで、タメル地区の散策はこれくらいにしておいて、すぐにオールドバザールやダルバート広場の方へ退却です。

ニューロードの近くにはパサンタプルという広場があるのですが、ここには露天商が立ち並んでました。さて、そろそろ友人へのお土産でも買おうおかなと思い、いろいろこの露天商を見て回ります。しかし、主に仏像とかアクセサリーなどの工芸品が多く、「うわっ、高そう」という感じのものばっかりです。なので結局、またネパール茶のお茶っ葉に落ち着いちゃいました(60ルピー)。しかも友人のお土産のつもりが自分の分しか買ってないし。


パサンタプル

この広場でしばらく座って休憩していると、小さな少年が1人やって来ました。「お茶はどうですか」と英語で話し掛けてくるのです。どうやらこの広場にはみやげ物の露天商だけでなく、チャーやらパンやらお好み焼きなどの食べ物の露店もあるみたいで、この少年はそれらを売り歩いていたみたいです。せっかくだからまたお茶でも一杯もらうことにします。しかしこの少年は実に英語が流暢ですな。毎日外国人観光客とコミュニケーションを取ってるからもう英語に慣れちゃったんでしょうね。…でも実際聞いたところによると、自分のように働いている身でない者でも、ネパールの子供というのは英語が上手なんだそうですよ。というのもネパールでは、小学生のうちにほとんどの学校が英語教育を受けさせるらしいです。それはすごい教育体制ですね。しかしネパールでは、学校に行ってない子ども達もたくさんいて、例えばこんな風に、外国人観光客相手に商売するために独学で英語を学んでいる子ども達もいるらしいです。うーん、それはちょっと考えものだなぁ。

さて、お茶を堪能したあとはまたブラブラとダルバール広場あたりをぶらつきます。…ところでこの国の方々ってのは、日本人に負けじと劣らず野次馬精神が旺盛のようですね。この日、広場ではショー(路上での演劇)が行われてたんですが、そこに集まった人ったらすごい数なんですよ。自分の店が営業中のくせに、関係なくそっちの方へフラフラ〜と見に出かけちゃう人もいるのです。結果、そのショーの周りで営業してる店はほとんどが無人販売の店になってました。あの〜、外国人のお客さんが困ってるようでしたけど?

ちなみにその人だかりのもう少し先を歩くと、また大きな人だかりができていました。今度はなんだろうと覗いて見ると、中年の大人たちが1つの小さなお椀を囲み、その中にサイコロを投げ入れて遊んでいました。おそらくチンチロリンを観戦しているようです。…オイオイ、朝っぱらから何やってんだアンタら。

…あー、残念! そろそろフライトの時間が近づいちゃいました。にぎやかな光景を惜しみながら11時ごろホテルをチェックアウト、車でトリブヴァン空港へ向かいました。……さて、いよいよ帰郷です。タイも含めて5日間、あっという間に終わっちゃいましたな。でも濃い内容の旅ですごくよかったです。カトマンズ盆地は観光するところが少ないなどと言われていますが、そんなものはなくても、カトマンズ盆地の街の雰囲気だけで十分楽しめたような気がします。それがなぜかは明確には表現しづらいですけど、少なくとも、私はいずれまたここに来てみたいと思いました。

  

  
またこの雰囲気を味わいに来たい

空港に到着後、ガイドさんと握手を交わしてお別れ。1時ごろのフライトでバンコク空港へ向かいました。途中、飛行機の窓から、雲を突き抜けたヒマラヤの山々が綺麗に見れましたよ。最後の最後で大収穫ですね。飛行機は午後6時ごろバンコク到着。そのままずーっと乗継便を待って、翌朝に日本帰国です。

家に帰ってきてから気付いたんですが、旅行中ずっと着ていた紺のトレーナーが、いつの間にか少し黄色に変色してました。パンパンと手ではたいてみると、ウエッ、すごい砂ぼこりじゃないか。ネパールの空気の酷さを帰国後も改めて痛感しました……。てゆーかマジで臭い。

ネパール旅行記。これにて完。


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