[京都府]

宇治上神社の本殿
京都の世界遺産は、ユネスコでは「古都京都の文化財」としてひと括りで登録されているが、実は厳密に数えると、その寺社仏閣の数は17ヶ所ある。そしてそのうちの2ヶ所は宇治市内にある。

平等院は、末法思想(仏教が衰退し、仏の教えが時代を経て次第に通用しなくなるという思想)が流行していた平安末期、藤原一族が極楽浄土を願って建立された。極楽を具現化したものと言われている。さすが藤原一族の栄華を象徴するだけあって、豪華な造りだ。

 
平等院鳳凰堂
個人的に興味を惹かれたのは、鳳凰堂の側にあった鳳翔館(平等院ミュージアム)だ。雲中の間の仏像展示においては、まるで美術館のごとく、空間を大いに活用した展示手法をとっている。文化財の展示というと単調であまり面白くないものが多いが、こういった演出をしてくれると逆に見入ってしまう。
宇治川沿いには平等院の表参道があり、いくつもの茶店が軒を連ねる。暑さに耐えかねて、そのうちの一店に入った。普段はあまり抹茶のかき氷は口にしないが、やはり宇治に来たからには、記念に宇治金時を食べねばなるまい。単なる食わず嫌いだったようで、大変美味しく頂けた。

ちなみにたまたま入ったその茶店は「三星園上林三入本店」というお店で、老舗のお茶屋さんだった。店主いわく、商標として扱っている三星の紋が、茶畑の地図記号(∴)の由来になったとも伝えられているそうだ。お茶というと静岡のイメージが強いが、やはりこの地もお茶の歴史は古い。

宇治にあるもう一つの世界遺産、宇治上神社に出向く。地元の人達の中には、宇治上神社よりも宇治神社の方が馴染みがあるようで、何度か通りすがりの人に道を聞いたのだが、みな宇治神社のことを指して教えてくれた。中には宇治上神社のことを知らない人もいた。地元の人ではなかったのかな?

宇治上神社の拝殿
神社は、さわらびの道という、石畳でできた散歩道の途中にあった。これが世界遺産なの?と思うくらいの、こじんまりとした神社。まるでウチの近所にもありそうな佇まいだ。それでもちゃんと清め砂があるところに、由緒ある神社であることを思わせてくれる。境内は拝殿と本殿のみで、本殿には3つの内殿がある。2004年に実施された年輪調査により、この内殿が、現存する最古の神社建築であることが証明されたという。小さいながらも、実は日本最古という非常に価値のある神社である。

決して派手ではない。でもこんな世界遺産もいいものだ。

【2011年8月記録】

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