[大分県]

海地獄
意外と自分は有名な観光地に足を運んでいない。別府の地獄巡りもそのひとつだった。聞き慣れてしまっている観光名所に対しては、何だか今さらな感があって、なかなか行く機会を作ろうとしなかったのだが、いざ来てみると一種のアトラクションのようで、これが純粋に面白い。特に国指定名勝に指定されている海地獄、血の池地獄、龍巻地獄などは思わず見入ってしまった。もはやわざわざ人に薦めるようなことではないかもしれないが、この圧倒的な地熱のパワーは必見である。


間欠泉の龍巻地獄
別府は日本一の湧出量を誇る温泉地。街を歩けば、そこらじゅうの建物の排気口から湯気がモクモクと立ち上がっている。本当かどうかは分からないが、その建物のうちのいくつかは実は普通の一軒家で、自宅のお風呂が温泉だという家もあるらしい。そういえば、地獄めぐりの移動のためにバスを待っている間、停留所にあるポスターが貼られていた。なんと温泉付きの分譲マンションの広告だった。あまりにも贅沢な話に聞こえるが、この地域ではありふれたことなのだろうか。

地獄めぐりの途中、近くの食堂で「だんご汁」をすする。大分の郷土料理で、小麦粉をこねた団子をきしめんのように平たく延ばし、豚肉、さといも、ごぼうなどを味噌仕立ての汁で煮込んだものだ。この日は暖かい日だったので、汗をかいてフゥフゥいいながら食べたが、コクのある味噌の味に満足できた。このだんご汁、現地では知らない人はいないメジャーな料理らしい。巷ではB級グルメなんてのが流行っていて、別府でも「とり天」や「冷麺」などをB級として広めようという動きがあるそうだ。もちろんそれらも安くて美味しいが、このだんご汁のように、昔から認知度の高い郷土料理も支持されてもいいのではないかと思う。


竹瓦温泉

やよい商店街にある厄除けの天狗
別府市内の中心部に移動して商店街を歩く。道を一本外れて路地裏を歩いてみれば、レトロな街並みや建物を見ることができる。その代表となるのが竹瓦温泉と呼ばれる、明治時代から続く市営浴場だ。赤い円柱のポストがどこか懐かしい。またこの他にも、雨に濡れずに竹瓦温泉に行けるように作られたといわれる、現存する日本最古の木造アーケード「竹瓦小路」がある。最近ではこれらの路地裏エリアを巡るツアーが催行されており、観光客から人気を得ているそうだ。温泉で有名な観光地の中で、こういった温泉以外の点で注目を浴びているというのも面白い。それが路地裏というんだから、路地フリークの私としても喜ばしい限りだ。

観光した後は、宿泊した温泉旅館でひとっ風呂浴びる。そしてその後で振舞われたのは、豊後牛や豊後アジを使った地元特産の料理。大分の地酒を飲みながら、美味い肴をつつく…。今まで、この地に足を向けてなかったことを後悔したのはこの瞬間でもあった。


竹瓦小路
【2010年6月記録】

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