真理に媚びず 虚偽を蔑まず 知識に諂わず 無知を侮らず



愛すべき野球ばか

すきなことができて、
ましてやそのすきなことが仕事になる。
ロサンゼルスドジャース大谷翔平選手である。

かれのまわりはいつもにぎやかである。
けれど、ご本人は、
野球に専心。
いつもとかわりがない。

野球を愛しているひとのことを、
野球ばか、という。
野球が好きで、
野球に精通し、
野球いがいは興味がなく、
ひるがえって、
野球をまったくしらないひとのことをいう。

U.S.A. の記者さんたちは、かれ大谷翔平選手の無欲さにおどろいている。
自身の給与口座へ、3年間もログインがなかったという。

大谷翔平選手はおかねに執着しないだけである。
無欲ではない。
野球はべつである。
ゆえに、
おかねが人生の根本、
と考えるひとがおおいU.S.A. のひとたちはおどろくのだろう。

大谷翔平選手はニッポンに生まれ、
ニッポンで育つ。
かれの野球への情熱はニッポンでつちかわれた。
ニッポンは愛すべき、
ひとりの野球ばかをはぐくんだ。

ただ、
かれは野球よりも、
ベースボールがすきなのだろう。

たのしみの質が野球ではなく、
ベースボールにあると感じているのではあるまいか。

たしかに、メジャーリーグに在籍する選手諸氏が、
ニッポンで野球をしているときよりも、
より精悍(せいかん)で、
しかもたくましく、
なのよりも楽しそうである。

かれらにつづく、
ちびっこたちは、
そのことに気づいているのではなかろうか。





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