真理に媚びず 虚偽を蔑まず 知識に諂わず 無知を侮らず



  ながい黒髪に

浅草発北千住行の電車に娘はのってきた。

ドアを背に、
おもむろにたつと、
ながい黒髪に、
なんべんも、
なんべんも、
なんべんも、
ブラシをいれる。
風もないのに、
サラサラと。

おとなたちよ、
その行為は、
あなたの黒髪を、
いまいじょうに、
みがきはしない。
あなたがくりかえす行為は、
ただ、
あなたの黒髪をぬいているだけなのだよ、
と、
おしえてあげてほしい。
黒髪は、
ただうつくしいのに。
手をかけて、
傷ませることはない、
と。
つたえてあげてほしい。







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