太陽に問う
太陽は、のぼろうとしていた。
輪郭は、まぶしくてたしかめられない。
そのとき、男は、おてんとうさまに問うた。
「おてんとうさま、おてんとうさま、おてんとうさまのちからをわたしにくださいませんか。」
「おてんとうさま、おてんとうさま、どうか、どうか、おてんとうさまのちからをわたしにくださいませんか。」
おてんとうさまは、笑いながらこたえたそうな。
「おまえのからだではわたしのちからはおさまらない。」
「おてんとうさまのちからをわたしに分けてくださいませんか。」
すると、おてんとうさまは、キリッとおっしゃった。
「おまえたちにはすでにあたえてある。」
「…なげかわしいのは、ほとんどのものが、そのことに気づいていないことなのだ。」
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