真理に媚びず 虚偽を蔑まず 知識に諂わず 無知を侮らず


  哲人たちの料理

 琉球料理の特集をみた。
 長寿村でコンブ料理堪能という。
 
 ああ、沖縄は貧しいのだ。
 でなければ、海藻など食うものか。
 
 が、
 そこにあるのは貧しさではない。
 それをみて貧しいと感じ、考えるひとこそが貧しいのである。
 いわば試験紙。
 しかり。
 わたくしは貧しい。
 
 おかねが少なければ工夫する。
 あたりまえ。
 そのあたりまえの前提につちかう創造力。
 料理こそもっとも創造性のある。
 それが琉球のコンブ料理。
 
 おかねが少なければ、頭をつかう。
 できあがったのが海藻をふんだんにつかう料理であった。
 アメリカ合衆国マクガバンレポートでいう低脂肪高タンパクの好例である。
 
 琉球の哲人たち。
 まっくろに日焼けした顔に、まっしろな歯をみせながら、若輩に、微笑み、そして諭す。
 
「なんくるないさぁ。」
 
 ひとことである。





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