真理に媚びず 虚偽を蔑まず 知識に諂わず 無知を侮らず


  北島康介選手の敵はハンセン選手だけなのか

 がっかりだ。
 
 前世界記録保持者のブレンダン・ハンセン(26)が北京五輪米国代表選考会The 2008 U.S. Olympic Trials - Swimming 男子二百メートル平泳ぎ決勝で、2分11秒37で4位、北京五輪出場を逃した。
 すると、
 北島康介選手「金当確」。
ということにになるらしい。
 スポーツ紙は書く。
 軽率である。
 
 北島康介選手のライヴァルはブレンダン・ハンセン選手だけなのだろうか。
 まだ競技ははじまっても、おわってもいないのである。
 にもかかわらず。
 
 16年まえ。
 第25回オリンピック、バルセロナ大会、3日目、7月27日。
 無名の少女が一気に世界の頂点に駆け上がり、同国選手団として大会初のメダルを「金」で飾った。
 競泳女子200メートル平泳ぎ、岩崎恭子さんである。
 五輪、日本新記録の2分26秒65で優勝した。
 当時、岩崎恭子さんは中学2年生。
 1週間前に14歳になったばかりであった。
 
 ここで、目をまんまるにして、耳をかっぽじっておさらいしなければならないことがある。
 岩崎恭子さんは本番で、大会前の自己記録を5秒近くも短縮した。
 その事実である。
 
 本番で実力を発揮できない多くの同胞を目にしてきた。
 ゆえか、本番でそのもてる実力をいかんなく発揮した選手のことを、われわれは忘れてしまう。
 圧倒的少数にもかかわらず!
 ユーロ2008のロシアがまさにそうである。
 大会を通して、いっきに強くなるチーム、個人はかならずでてくる。
 そのために練習、練習、練習してきたのである。
 
 北島康介選手の敵はだれか。
 北島康介選手のとりまき。
 北島康介選手ご本人でしかない。
 それをよくしっていらっしゃるのは北島康介さんご本人である。
 ブレンダン・ハンセン選手が負けた。
 北島康介さんは武者震いしたに相違ない。
 
 メディアによって傷めつけられ、またときに力づけられた。
 そのことをしる、ひとりの青年がふるいたつ。
 
 静かに、見守ろうではないか。





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