真理に媚びず 虚偽を蔑まず 知識に諂わず 無知を侮らず


  木島良輔選手オフィシャルサイトへ送ったメール

 2006-05-22 ともすると…。
 ドリブルしてシュート。
 なんどもなんどもくりかえす。
 ともすると、わがままなプレーっていわれる。
 けれど、いまのヴェルディに欠けているのが、この精神だ。
 ドリブルで攻込めなければ、ワンツーリターンで打開すればいいじゃないか。
 元ジュビロ磐田でブラジル代表のキャプテン、ドゥンガは、
 フットボールは単純である。むずかしくしているのはわれわれだ、といった。
 いまのヴェルディこそ、迷ってばかり。だから判断が遅れる。
 開き直るには、キジ、あんたの強引なつっかけと、シュート。
 なんどもなんどもくりかえす。
 そんなプレーが必要だ。
 もういちどいう。
 フットボールは単純である。
 むずかしくしているのは選手自身だ。

 2006-07-24 きじはピッチという劇場の役者。
 こんちは、きじ。
 やっとのおでましかい。とりあえず、だね。
 でもまたそこで様子見だから、いまからよろこんでいられない。
 ラモスさんもだいぶお疲れの様子だね。
 夏はこれからだ。
 で、さ。
 ぼくはおもうんだけれども、プロって、結局、役者なんじゃないかな。
 ピッチは劇場で。マネージャーが演出。
 役者はピッチのうえでどうか、問われるべきであって、それ以外は素(す)なわけでしょ。
 それがプライヴェート。
 ニッポンはその境界をぼかしすぎだよね。はっきり区画されているのに。
 で、なにをいいたいかっていうと、きじにも役者になってもらいたい。
 素は大根役者でもいい。
 ピッチのうえでは、ただいい人だけじゃなく、ときには王様、そして鬼にならなくちゃいけない。
 声のかけかたでも、
「ざけんなよ。」
みたいに、どこかのチンピラの口調では決してなく、心は冷静でいながら、大きな声で叱る。
 そんな役者がこの国には決定的に少ない。
 きじだからできるとおもうし、できないとおもうのなら、できるように稽古する。
 ナンセンスかなぁ。

 2006-08-02 いい感じ。最近のきじのメール。
 ラグビー大学選手権のこと。
 試合前、選手諸君は気合いっぱい入りすぎて、泣きそうな顔してるでしょ。
 こういうのって、所詮子供なんだ。
 社会人の大会をごらん。
 試合前は、むしろ淡々としている。
 力を抜くことに懸命だ。
 最近のきじの文章をみていると、リラックスしながらも、状態が確実に上向いてるのがわかる。
 いい感じ。
 そういえば、きょう亀田興毅選手のタイトルマッチがある。
 ボクシングでね、力んだパンチって見た目ほどには効かないらしい。むしろ、リラックスしたときのパンチこそが相手に強烈なダメージを与えるという。
 つまり姿勢に無駄がなく、しかも、腰がはいっているからだそうだ。
 リラックス。リラックス。力を抜いて。リラックス。
 あとは楽しむ。それも真剣に楽しむのだ。

 2006-08-10 泣きたくなるぜ。
 試練。
 でも、怪我したからって試練がはじまるわけじゃない。
 われわれはこの世に生をうけたときから試練ははじまっている。
 キジをたすけるのは所詮キジ自身でしかない。
 いろいろと勉強するいい機会かもしれないよ。
 ドゥンガの本とか、オシムの言葉とか読んだり、将来のためにスペイン語を勉強するとかさ。
 池波正太郎さんの鬼平犯科帳なんておすすめだな。
 いまは、ただたくわえる時期なのだろうよ。
 一喜一憂せず、しっかりと怪我とむかいあってください。

 2006-08-13 励まされているのは、こっちだよ、キジ。
 おもいっきり不安だよな。
 でもさ、キジ、励まされてるのは、実は、ぼくのほうさ。
 きみがひたむきにボールを追う。
 ボールなんぞ追わなくたっていいさ。
 きみが、きみが元気にしている、
 そのすがたを見、聞き、その姿に励まされているのは、ぼくのほうさ。
 でね、キジ、説経じみててて悪いのだけれども、
 期待もせず、あきらめもせず、ニュートラルの状態を意識してみてはどうだろう。

 2006-12-03 木島へ。
 苦しくなると、とかく救いを外に求めたがる私たちの弱い心を、彼はむち打って、自力で立ちあがるようにはげましてくれる。彼がとり組んだ困難にくらべれば、今日の私たちの困難はまだまだ物の数ではないのだ。これしきの困難に心くじけてはならない。ますます知慧(ちえ)をみがいて、運命を打開しなければならない。魯迅は何ひとつ、既成の救済策を私たちに与えてくれはしない。それを与えないことで、それを待ちのぞむ弱者に平手打ちを食わせるのだが、これ以上あたたかい激励がまたとあるだろうか。(竹内好、魯迅評論集、岩波文庫)

 2007-08-24 お帰り!キジ!
 サッカーができるよろこび。
 それを知っているプロフットボーラー。
 はたして何人いるのだろうか。
 失ってはじめて気づくんだよな。
 好きなことを仕事にできるありがたさって。
 キジが大きな声で、チームを鼓舞する姿が目にうかぶ。
 よく、戻ってきたね。
 くじけないで、よく、がんばってきたね。
 力をぬいて、さあ、魅せておくれ。キジ。

 2007-10-09
 そうですか。試合に出ていたのですか。
 シュートを、試合を決めたのですか。
 力を抜けよ、キジ。もうあんまりがんばるな。
 70%のイメージで、動けばいい。
 そのほうがシャープに動ける。余計なお世話だったな、キジ。

 大怪我から復帰した木島良輔選手のHPはこちら。
 http://kiji.football-age.com/ 
 ちなみに、著者は木島良輔選手が和製メッシなのではない。リオネル・メッシがアルゼンチン製木島良輔なのだ、と考えている。どうでもいいことではあるけれど…。





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