細野不巡 スタジアムで会いましょう
2007年
敬称略
2007年9月19日
  マア坊がサッカーをやめる!

「サッカーつづけている?」
 マア坊は首をふる。
 
 マア坊とは著者がはじめて荒川土手のグランドでサッカーをやったときの仲間。
 電車でちかくの駅まで乗りついでいった。
 冗談をとばしあい、大笑いしながらグランドへいった。
 
「もうやめちゃったんです。」
 その声は小さい。
「いまはプールで水泳。」
といったところで、やめた理由をきいた。
「ゴールはずすと、みんなにいわれたり、迷惑かけたりするから。」
声は小さい。
が、はっきりとこたえてくれた。
 
 嗚呼、これで日本代表候補がひとり減った。
 著者はおもう。
 マア坊がじょうずだから、ではない。
 下手であってもいいのだ。
 大切なのは、かれがもつ可能性のことなのだ。
 
 なぜ、マア坊はサッカーをやめたのか。
 なにが、マア坊をサッカーから遠ざけたのか。
 なぜサッカーをしない、つまりゼロの状態という極端をえらぶのか。
 そういう選択しか、ほかにはないのか。
 
 フットボールサッカーはたのしいはずではなかったのか。
 
 ニッポン。
 ニッポンという空気。
 
 真っ青な空のしたで。
 いまもなお。
 このよどんだ雰囲気を絶え間なく再生産する風土。
 
 無自覚な、あまりに無自覚な。
 
 すべては、この日本語の仕組み自体に原因があるのだろう。
 灯台元はきょうも暗いのか。
 なんということか。





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