イヴィツァ・オシム教授の舌たらず
たとえ上手。
わが邦のメディアが好むキャラクターである。
いっときの、今太閤とはやしたてたころの故田中角栄首相もそうであった。
いまイヴィツァ・オシム教授が注目をあびる。
ポリヴァレント。
水を運ぶひと。
かれの志向するフットボール・サッカーの外枠である。
3月17日、ペルー戦(於横浜国際総合競技場)を観た。
ひさしぶりの全日本であった。
日本2-0ペルー。
横浜にかけつけた6万の観客は若い。
ゆえか落ち着きがない。
なによりも騒々しい。
不快と興奮が交錯し、両国国歌斉唱以降は椅子から腰をあげることはなかった。
熱狂がかならずしも過熱だけを生むのではなかった。
ペルーの背番号4番、CBワルテル・ビルチェスをみていた。
ペルーが敵地でどうたたかうか。
それだけが知りたかった。
が、予想はあっさりと裏切られる。
ペルーは勝ちにきていた。
防御の要、ワルテル・ビルチェスは引いてなぞいなかった。
対する全日本。
よくいえばサイドチェンジ。
セルジオ越後さんは横パスという。
そればかりがめだつ。
まるで工藤浩平選手が先発出場するまでのジェフ千葉そのものだ。
サイドチェンジとて、
たしかに以前ならばそれすらなかったのだけれど。
しかし、
いかにポリヴァレントたりえようが、
どれほどの選手諸君がたえまなく水を運ぼうが、
ゴールは決して生まれない。
ポリヴァレント。
水を運ぶひと。
そして、殻を破るひとがいなくてはならない。
ジェフ千葉、背番号20、工藤浩平選手のようなアタッカーがいなければ話にはならない。