細野不巡 スタジアムで会いましょう
2007年
敬称略
2007年3月28日
  イヴィツァ・オシム教授の舌たらず

 たとえ上手。
 わが邦のメディアが好むキャラクターである。
 いっときの、今太閤とはやしたてたころの故田中角栄首相もそうであった。
 
 いまイヴィツァ・オシム教授が注目をあびる。
 ポリヴァレント。
 水を運ぶひと。
 かれの志向するフットボール・サッカーの外枠である。
 
 3月17日、ペルー戦(於横浜国際総合競技場)を観た。
 ひさしぶりの全日本であった。
 日本2-0ペルー。

 横浜にかけつけた6万の観客は若い。
 ゆえか落ち着きがない。
 なによりも騒々しい。
 不快と興奮が交錯し、両国国歌斉唱以降は椅子から腰をあげることはなかった。
 熱狂がかならずしも過熱だけを生むのではなかった。
 
 ペルーの背番号4番、CBワルテル・ビルチェスをみていた。
 ペルーが敵地でどうたたかうか。
 それだけが知りたかった。
 
 が、予想はあっさりと裏切られる。
 ペルーは勝ちにきていた。
 防御の要、ワルテル・ビルチェスは引いてなぞいなかった。
 
 対する全日本。
 よくいえばサイドチェンジ。
 セルジオ越後さんは横パスという。
 そればかりがめだつ。
 まるで工藤浩平選手が先発出場するまでのジェフ千葉そのものだ。
 サイドチェンジとて、
 たしかに以前ならばそれすらなかったのだけれど。
 
 しかし、
 いかにポリヴァレントたりえようが、
 どれほどの選手諸君がたえまなく水を運ぼうが、
 ゴールは決して生まれない。
 
 ポリヴァレント。
 水を運ぶひと。
 そして、殻を破るひとがいなくてはならない。
 ジェフ千葉、背番号20、工藤浩平選手のようなアタッカーがいなければ話にはならない。





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