スタジアムで会いましょう

  前哨戦で力つきてしまう、ニッポン
 
 10月14日鹿島サッカースタジアム、鹿島アントラーズ対ジェフ千葉。
 鹿島0-4千葉。
 
 ジェフ千葉がセットプレーでゴールをきめるたびに、
「ゴールをとったことは忘れろ。」
 なんどもなんども心のなかでくりかえす自分がいた。
 ジェフ千葉の対鹿島アントラーズ戦績はかんばしくない。
 
 ホーム鹿島アントラーズ。
 内田篤人選手はサブスティテュート。
 100試合出場のフェルナンド選手はなんと私服で花束を受けとった。
 鹿島マネージャー、パウロ・アウトゥオリがなにを考えていたのかはわからない。
 
 リーグ戦優勝が遠のいてしまった両チームにとって、手にすることのできる栄誉、
それがナビスコカップ。
 決勝の相手。
 前哨戦。
 
 ワールドカップドイツ大会寸前。
 開催国ドイツとのフレンドリーマッチ。
 キャンプの総仕上げとして相手に不足はなかった。
 それまで苦汁をなめてきた高原直泰選手にとって、かれを見くびったドイツ人を見返す絶好の機会でもあった。
 黙っていても、試合への動機づけは充分であった。
 
 2ゴール。
「どんなもんだい。」
 高原直泰選手は溜飲をさげた。
 それは同時にかれのピークでもあった。
 善戦がチームを弛緩させ、油断の連鎖がはじまる。
 
 前哨戦は所詮、前哨戦でしかない。
 パウロ・アウトゥオリはこの日の試合を前哨戦と捉える。
 ナビスコカップを獲るために。
 
 リーグ戦。
 負けてもいい、とはかんがえない。
 負けは結果だ。
 勝負というコインの表裏でしかない。
 プロは結果がすべて。
 たたかいかたに不満をこぼすサポーターは多い。
 それも正しい。
 
 11月3日。
 ナビスコカップ決勝。
 鹿島アントラーズ優位とみる。

 前哨戦で予想外の勝ちかたをした。
 ジェフ千葉の箍(たが)はゆるみ、油断するにきまっているからだ。
 
 ジェフ千葉が勝つとすれば、PK戦。
 
 パウロ・アウトゥオリのたたかいかたに軍配があがる。
 そうあるべきである。(10.19.06)





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