たたかうまえからわかっていたこと、
Prix de l'Arc de Triomphe (凱旋門賞)のディープインパクト
医師でピアニストの上杉春雄さんは、中学生のころピアノ修行にオーストリアへ行った。
若き上杉春雄さんがかなでるかたわらで、プロフェッサーは、
「このままこちらで学びなさい。さすればもっと巧くなる。ニッポン人は大学を卒業してくる。それでは遅い。」
といわれたという。
大学を卒業する。
すでに出遅れているというのである。
つまりそれは所詮ニッポンの都合という目には見えない殻を破ってはいないということだ。
ディープインパクトが Prix de l'Arc de Triomphe (凱旋門賞)で負けた。
著者の予想は4着。
勝てない。
たたかうまえからわかっていたことである。
予想ははずしたが。
それはディープインパクトがハーツクライに負けたときとおなじ理由である。
陣営はおなじ間違いをくりかえす。
本番のまえに、強い相手ときそわせるべきであった。
かならずしもグレード1である必要はない。
絶好のトライアル、Prix Foy (フォア賞)に出場するべきであった。
前哨戦はあくまでも前哨戦である。
世界一を意識しすぎたために、たとい前哨戦でも負けはゆるされない。
陣営は経験のなさを露呈した。
フランスにいながらもニッポンという殻のなかで、判断をあやまったのである。
7年まえの Hippodrome de Longchamp (ロンシャン競馬場)で。
史上最悪といわれた不良馬場にもかかわらず、一頭のニッポン調教馬が2着になった。
エルコンドルパサー。
エルコンドルパサーの調教経験がニッポン調教馬の経験として昇華されず、渡邊隆オーナー、二ノ宮敬宇調教師を中心とするエルコンドルパサー陣営の経験にしかなりえていないということである。
エルコンドルパサーはたまたま2着になったのではない。(2006年10月03日)
|