岩井不巡 スポーツコラム
スタジアムで会いましょう

  全国のレベルをあげる一番の方法 もしも前園真聖選手が…
 
 前園真聖さんが、ヴォルカ鹿児島に入団したとしよう。
 かれがすすんで鹿児島に入団したとしよう。
 
 なにが変るだろうか。
 著者は勝手に想像する。
 
 まず、ファンが来るだろう。
 こどもたちが騒がしくなるだろう。
 注目度が上がるだろう。
 
 でも前園真聖さんはマイペースだ。
 元ニッポン代表選手とはいえ、チームには競争がある。
 ライバルは20代そこそこのバリバリだ。
 しかもかれの後輩だったりして。
 
 かれとても望むところである。
 勝つ自信があってこそ戻ってきたのだ。
 Jリーグにいく。
 それが仕事である。
 
 練習がおわっても、ひとり前園真聖さんはファンのさいごのひとりまでサインを書きつづける。
「おつかれさまです。」
「ありがとうございます。試合を観に来てくださいね。」
 かれは営業を忘れない。
 
 全国のレベルをあげるには、元代表選手で、しかも10年選手、15年選手20年選手が地元へ散らばるがよい。
 かれらこそがお手本、そのものだからである。
 
 まず、20年選手が現役をつづけるということは適切な自己管理ができている証拠、その結果である。
 その質を維持する選手が練習をする。
 ファンにサインをする。
 ずうっとやってきたことである。
 若手にはかれの一挙手一投足、そのすべてがよき手本になる。
 
 おおくのサポーターから尊敬をうるには時間を要しない。
 
「現役にまさるものなし。」
 
 なんのための練習なのか。
 なぜかれは練習をつづけるのか。
 人生にいきづまったひとが、黙々と練習を続けるかれを見て、ふたたび勇気を奮うだろう。
「あきらめた、その時点で終るのだ。」
 
 前園真聖さんが現役を引退した。
 残念である。
 
 武田修宏さんを見習って欲しかった。
 でも武田修宏さんには、カズを、ラモス瑠偉さんを、とことん見習って欲しかった。(8.22.05)





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