岩井不巡 スポーツコラム
スタジアムで会いましょう

  一年生になったら

 駅前通りにはいつも音楽がながれている。
 童謡である。
 歳時記のように、時季おりおりの歌がながれる。
 
 そのなかでただ一曲、気にいらない歌がある。
 
 一年生になったら、
 一年生になったら、
 ともだち百人できるかな。
 
 おとなは嘘をおしえる。
 いや、嘘をそのままうのみさせる。
 
 百人のともだち。
 それがそもそも可能なことなのだろうか。
 たとえ百人できたとて、それが素晴しいことなのであろうか。
 
 筆者はそうはおもわない。
 
 ともだちは、百人もできないし、
 ともだちは、百人もいらない。
 そもそも、ともだちは数を問う性質のものではない。
 
 一年生になったら、
 一年生になったら、
 ともだち百人できるかな。
 
 ことしもどこかで歌われるのだろう。
 なにもしらぬまま、子供たちはおとなにおしえられ、おしえられるまま子供は歌う。
 
 一年生になったら、
 一年生になったら、
 ともだち百人できるかな。
 
 一年生諸君。
 一年生になったら、
 一年生になったら、
 ともだちはなかなかできないかもしれないけれど、
 ともだちになってもらうように努力してみてはどうだろう。

 一年生になったら、
 一年生になったら、
 ともだちが悲しんでいたら、
 そうっとそばに寄りそってあげてみたらどうだろう。
 
 一年生になったら、
 一年生になったら、
 きみとともだちになりたがっている子がいたら、
 その子と握手でもしてみるといい。
 にこっと笑ってみるのもいいかもな。
 ともだちができなくって悩んでいたときのきみ自身のことを、
 おもいだしてみるのもいいだろう。(3.15.05)





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