岩井不巡 スポーツコラム
スタジアムで会いましょう

  万全の補強

 毎年、シーズン開幕の、この時期になるとおもうことがある。
 そのたびに暗い気持になる。
 
 いったいこのチームは勝ちたいとおもっているのだろうか。
 どう贔屓目にみても、最下位争いはまぬがれまい。
 
 そういうチームがなんとおおいことか。
 プロ野球も、Jリーグも。
 
 たとえば楽天イーグルス。
 このピッチングスタッフで、勝てるわけがないじゃないか。
 ほんとうに優勝できるスタッフがそろった、とキーナートGMはおもっているのだろうか。
 それこそ楽天家でしかない。
 
 勝負は、もちろん、やってみなければわからない。
 が、はっきりいう。
 ロッテのつくった連敗記録をやぶる可能性がいちばん高いのが楽天イーグルスである、と。
 なめるなといいたい。
 
 おなじようなことがJリーグにもある。
 ザスパ草津である。
 Jリーグに加入することが目標で、それを果たして気がぬけてしまったのか。
 バーンアウト(燃えつき症候群)は子供だけではないようである。
 降格の心配がないのだから当然のなりゆきか。
 
 金がないのならば、良い選手をつくり、移籍させる。
 その移籍金で、運営していく。
 それよりほかに術はない。
 いや、あるかもしれない。
 が、それを模索しているとはおもえない。
 
 コンサドーレ札幌はヘッドコーチを更迭しなかった。
 連敗がつづいても、なお更迭はなかった。
 3年計画であるという。
 ことしはその2年目にあたる。
 では3年目にどうなればよいというのだろうか。
 J1への昇格を3年待て、とでもいうのだろうか。
 3年経って、昇格できなかったら辞めてもらうのか。
 実績のあるコーチだから。
 若いチームだから。
 ほかにはこれといった人材がいないから。
 
 S級コーチならたくさんいるではないか。
 人材がいないというよりも、人物を見る目を持つ人間がいないだけではないか。
 
 すくなくともプロフェッショナルをもって自任するのであれば、結果を求め、求められる。
 連敗しようが優勝する。
 勝てなくとも昇格する。
 それが結果をだすということである。
 連敗で最下位という結果がでているにもかかわらず、その結果に目をつぶる。
 続けるほうもそれをよしとするほう共にあまいとしかいいようがない。
 
 万全の補強。
 それは言葉だけのことである。
 秤がないいじょうどこまでいってもきりがない。
 が、ほんとうは分際をわきまえていないからである。
 目標が曖昧だからである。
 
 チームとは、じょうずな選手を集めたからといって、強くなるものではない。
 いっときの西武ライオンズがそうであった。
 読売ジャイアンツとておなじこと。
 
 チームに必要なのは熟成という曖昧で、捉えようのない感覚なのである。
 それはたとい経験を積んだものとても、いかに細心の注意をはらっていたとしても、一瞬にして脆くも崩れてしまう代物である。
 ほんの刹那。
 集中できたときにはじめてエネルギーと化す。
 その体現でしかない。
 この感覚をおおくもつチームこそが、最強という名を得る資格をもつにすぎない。(3.1.05)





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