岩井不巡 スポーツコラム
スタジアムで会いましょう

  これぞリベロ、JEF千葉、イリアン・ストヤノフ選手、背番号5
 
 長年、疑念があった。
 リベロとはなにか。
 
 たとえば元ニッポン代表井原正巳さんをリベロと呼んだ。
 本当?
 それがリベロなのだろうか。
 
 リベロの歴史的考察を試みるわけじゃない。
 ただ、いい加減ないいかたがまかりとおる。
 それが許せない。
 
 ボランチも同様である。
 
 結果からいう。
 JEF千葉のディフェンダー、イリアン・ストヤノフ選手を見れば一目瞭然。
 かれイリアン・ストヤノフの動き、これがリベロである。
 そしてイリアン・ストヤノフがディフェンダーのまえにポジションを置いたとき、それがボランチなのである。
 まちがってはいけないのは、ともにポジションをいうのではないということである。
 動き、とくに守備から攻撃するときの中味、実質をいうのである。
 
 ユヴェントス、ファビオ・カペッロはボランチをディフェンシブな選手とは認識せず、攻撃の始動するところ、といったニュアンスを示している。
 それが正味なのではあるまいか。
 
 とすれば、井原正巳さんはリベロではけっしてなく、元韓国代表、洪明甫さんもリベロではなかった。
 たまあにリベロのような動きをした、とするのがよろしい。
 
 するとニッポンにはリベロと称するに値する選手がほとんどいないことに気づく。
 ニッポン籍をもつ選手で、この動きをする選手はJEF千葉、結城耕造選手のみをおいてほかにいない。
 外国籍の選手ならばこれが微妙になる。
 そのほとんどの外国籍選手、とくにディフェンシブなポジションの選手はみなリベロのなんたるかを理解しているのではないか。
 できるけれどもニッポンではその動きを求められていない、か、理解しているが、適性はない。
 そのいずれかなのだろう。
 
 いずれにせよ、リベロのなんたるか、ボランチのなんたるかを理解せずして選手を起用できるはずがない。
 ゆえにニッポンのおおくのチームにリベロは存在しないのであり、単なるディフェンシブハーフをボランチと称すまちがいが野ざらしのままなのである。
 
 ブルガリア代表でもあるイリアン・ストヤノフ選手の出場したワールドカップ予選を見た。
 けれど、そのときはJEF千葉でのアグレッシブさは求められていなかった。
 かれにとっては代表に選ばれることはもちろん栄誉あることにちがいはないだろうけれど、代表の試合よりもJEF千葉での試合のほうが楽しくってしょうがない。
 そんな風に見えてくるから不思議だ。
 
 ぜひおすすめしたい。
 JEF千葉、イリアン・ストヤノフ選手、背番号5。
 フクダ電子アリーナでかれの動きを見るだけでいい。
 そこにリベロの本質がある。(10.27.05)





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