岩井不巡 スポーツコラム
スタジアムで会いましょう

  どうしたJEF千葉、山岸智選手、水野晃樹選手、
  ふたりとも結城耕造選手を見習うべきじゃないか
 
 10月16日フクダ電子アリーナでの対横浜Fマリノス戦は勝たなくてはいけないゲームであった。
 
 試合後、イヴィツァ・オシム監督は監督に責任あり、とおっしゃった。
 そのとおりであろう。
 負けはつねに監督の責任である。
 
 ただ、たたかうのは選手諸君。
 監督の責任です、じゃんじゃん。
 で終らせるにはいかない、見すごせない出来事があった。
 
 山岸智選手の持味はかれのアタックにある。
 ゴールを目指すときのアイディアに富む。
 なのにバックパスがやたらとおおいのはどうしてなのだろう。
 まえに行く。
 シュートをうつ。
 ゴールをきめる。
 これらの意識がすっぽりと抜けおちているからなのではあるまいか。
 シュートというもの、シュートをうつ、とつねに心がけていなければうてやしない。
 パスをする。
 バランスをみる。
 カバーリング。
 ともすればこれらの消極的な言葉を漫然と追ってはいまいか。
 
 抽象的ないいかたになるが、きみのプレーに溌剌が感じられないのは著者のみではあるまい。
 もったいない。
 きみはサイドよりも、むしろフォワード、点取りや、アタッカーこそがふさわしい。
 だからこそ、まえへまえへまえへ行け。
 
 後半24分、その山岸智選手が水野晃樹選手と交代した。
 この交代こそがイヴィツァ・オシム監督の失策であった。
 この機を待ってましたとばかり、横浜Fマリノスのドゥトラ選手は水野晃樹選手に1対1を挑む。
 これも交代で入った山瀬功治選手を組み入れながら。
 後手にまわって、水野晃樹選手はいいようにもてあそばれた。
 
 で、だ。
 水野晃樹選手のディフェンスがあまり得意ではないということは万人が認めよう。
 が、そんなこたぁどうでもいい。
 水野晃樹選手が今後、磨くべきはディフェンスではない。
 きみが鍛えるべきはただひとつ、攻撃へのあくなきチャレンジ。
 その精度を高めることにある。
 攻められるまえに攻めよ。
 攻められたらなお攻めよ。
 
 きみたちの同僚、結城耕造選手が先発メンバーとして出場しつづけるのは、ディフェンスというポジションにありながら、とにかくまえへ行く。
 その意識を維持し、なんどもなんども繰返しチャレンジするからである。
 せっかくのシュートチャンスにもかかわらず、最後にパスをだして失策したり。
 そういうミスはたしかにある。
 けれど、それでもなお、まえへまえへと行く姿勢はイヴィツァ・オシムが最も好むスタイルのひとつである。
 だからスターターに名をつらねる。
 ロングフィードも、なかなかいい。
 それだって、昨年までは見られなかった。
 
 結城耕造選手はあきらかに変ったのである。
 なにが得意なのか。
 チャンスとはなにか。
 チャンスを活かすとはどういうことか。
 なにをしなければならないか。
 かれは考え、そしてかれなりのひとつの結論を出しつづけている。
 そうして試合に挑む。
 
 ときにひとは遠くを仰いでばかり。
 ともすると近きをみすごしてしまう。
 灯台元はいまも暗い。
 山岸智選手、水野晃樹選手の身近なところに、結城耕造選手という、いい手本がいる。(10.26.05)





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