岩井不巡 スポーツコラム
スタジアムで会いましょう

  戴冠してもなお沈着、最良の手本、野村忠宏

 優勝候補が負ける。

「猛特訓」をくりかえし、再三にわたり「気合」を入れなおしてきたはずであった。
 だがそのどれもが世界には勝てなかった。

 はたして猛特訓、気合の連呼で勝てるのだろうか。
 女子競技を見ていてそうおもわざるをえない。
 国内では通用するかもしれないが。

 気合、根性。
 むしろそれはぐうっと腹のなかにしまってこそのものである。

 緻密な計算とフィードバック。
 その反復。
 気合、根性の抽象のはいる隙間はない。

 大切なことは少ないものを多くする鍛錬。
 多すぎるものをちょうどよくする技術。
 冷静に判断をくだす力、それをききわける力を養うことである。

 戴冠してもなお沈着。
 いままで実際を見たことがないものをして、これが武士かと見まがう野村忠宏選手こそ、日本がめざすひとつのいただき、最良の見本である。(8.23.04)





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