岩井不巡 スポーツコラム
スタジアムで会いましょう

  成田郁久美選手に伝えたいこと

 女子バレーボール全日本の吉原知子キャプテンとともに成田郁久美選手がリーダーとしてその重責を指名された。

 成田郁久美選手は、かのじょの経験から柳本晶一ヘッドコーチの期待にそうべく試行する。

「声をだしていこう。」
「ミスを恐れずにいこう。」
 なるほど、そうかもしれない。

 かのじょは聡明な選手である。
 ゆえに、頭でばかり考えてしまう。
 これは頭のいい人の悪い癖である。

 だが、そうじゃないはずだ。

 わたしならば、一本のビデオテープをかのじょに渡したい。
 ミュンヘンオリンピック、男子バレーボール準決勝。
 全日本対ブルガリア戦。

 そこに映る、ゼッケン1番、南将之選手の一挙手一投足を、目をこらして見てほしい。

 10年選手の採るべき手本はそこにある。

 2セットを先取され、3セット目。
 4-7から逆転した。あの伝説の試合だ。

 得点をするたびにコートを駆け巡る、南将之選手。
 その姿こそきみに求められた役ではないのか。

 あの試合。
 南将之選手がいたからこそ勝てたのである。
 あきらかに。

 考えこむまえに。
 それよりもさきに。
 コート中をところせましと駆けまわってみればいいじゃないか。

「わたしのまねをしてごらん。」
 と、みんなに微笑みながら。(7.4.04)





目次へ
fujun_sports