岩井不巡 スポーツコラム
スタジアムで会いましょう

  希望的観測に陥ってはいないだろうか
  バレーボール女子全日本

 希望的観測。

 この呪縛から逃れる方法。
 それは普通に考え、普通にみる。
 いわばアマチュアの視線で捉えることである。
 上手はえてしてその上手なところでミスをする。

 たとえば、女子バレーボール日本代表がオリンピック本番まえにバレーボール女子国際親善4カ国対抗戦で、イタリア、ブラジルに完敗した。
 そこでのコメントが、
「いまのうちに負けておく。」
「本番への手ごたえがある。」
「そんなに差はないとおもう。」
 といったどうみても負け惜しみ、無反省としかおもえないコメントに終始する。
 負けに理由あり、なのにどこか悠長にみえる。
 秘策でもあって、敵を欺くにはまず味方から、というのだろうか。
 大仰な。

 この時期になって負けがこむのはけっしてよい状況とはいえない。

 一方、個人種目とはいえ、ハンマー投げの室伏広治選手は今季世界最高記録をだして優勝した。
 100メートルのモーリス・グリーンも2位とはいえ、9秒93をマークした。
 これが世界レベルでいう、「順調にきている。」という意味である。
 ここへきて負けてばかりいてはどうしようもないのである。

 もちろん公言することと本心は違うだろう。
 それなりの対策も講じてはいよう。
 だが、
「本番ではきっとこうなるであろう。」
「本番ではかならずこうなる。」
 といったたぐいの強気はまったく根拠がないことは意識されてしかるべきである。
 このチームでたたかうのだ、という頑迷に陥ることも、出場するだけで御の字の競技ならいたしかたない。
 が、すくなくともメダルを目指すと豪語するのであれば、最後まで工夫をつくし、柔軟に戦力をミリ単位で補強、強化すべきである。
 大会の前日まで、いや、大会の試合まえまで、試合結果がでるまで考えつくし、すみやかに対処すべきである。

 すこしでもマシな結果を、すこしでもマシな方法で。
 そこにこそ世界があり、そこにこそ栄誉がある。
 敵とはいえ、相手とておなじ「ひと」にかわりはないのだから。(6.20.04)





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