岩井不巡 スポーツコラム
スタジアムで会いましょう

  女子バレーボール全日本の課題

 まるで日本バレーが復興したかのような騒ぎである。

 いっておくが、この大会はすでにきまっている出場国の残りのキップをきめる大会だ、という性格を忘れてはならない。
 セッター竹下佳江選手が活躍したことで、ご本人にとっては溜飲がさがるところであろうが、そのことはまた世界との差がはなれたことを意味する。
 セッターのブロックの低さはあきらかな弱点でしかない。
 竹下佳江選手のフルな活躍はシドニー以前への回帰でしかなく、ワールドカップ以降、かのじょのかわりを見出せなかったということでしかない。

 かのじょのパスまわしが好調に見える。
 が、相手チームの実力、それにホームでたたかえるというアドバンテージをふまえて考慮せねばなるまい。
 かのじょの調子がチームの出来を左右するのも問題点である。
 かのじょの調子が悪ければそのままチームの調子もふるわなくなる。

 もし竹下佳江選手のセッターとしての能力を欠くことのできないものと見るのであれば、かのじょの起用法にアイディアを見出すことである。

 ふたたびいう。今大会とおなじメンバーで挑むとすれば、アテネでの本大会は通用しない。
 もし本大会で、韓国や、イタリア、ロシアチームといまいちどまじえることがあれば、苦戦はまぬがれまい。

 イタリアのボニッタヘッドコーチは日本戦の敗戦をイタリアチーム自体の問題としている。
 竹下佳江選手のトス回しの巧みさにあるとはいわなかったのである。
 イタリアチームがふだんどおりであれば、日本には勝てる、とボニッタはいっているのである。

 日本の勝因はデータ解析の西村コーチの起用も大きいだろうが、やはり選手。
 選手でしかない。
 吉原知子選手のキャプテンシー、エースの成長、センターの成長があったからにほかならない。

 しかしなおも世界は弱点をついてくる。
 竹下佳江選手をリベロもしくは後衛でのみ使うことも検討できまいか。(5.16.04)





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