岩井不巡 スポーツコラム
スタジアムで会いましょう

  テクニックがためされるとき

「もし試合で使わないのなら呼ばないでくれ。わたしには重要な仕事が待っている。試合で使わないのなら、たとえ代表でもクラブチームを優先したい。」

 まるで、外国人のコメントを日本語に翻訳したみたいである。
 まっとうな意見である。
 なぜ、こういう選手が日本語をしゃべるひとのなかから出てこないのだろうか。

 プロフェッショナルとはこのひとをいう。

 かれは協会やヘッドコーチとのあいだに緊張した関係を生むであろうし、かれの存在が既成の組織論に再構築の必要をせまる。
 ひとりやふたりでは無力におもえる。
 が、ひとりやふたり出現しただけでも相当なショックをあたえるのである。

 レッジーナの中村俊輔くんにいいたいことがある。
 プレーに精彩を欠く。
 ならば、あえてきれいなプレーは捨てて、おもいきったタックルやチャージ、スライディングを意識的に、もっと泥まみれになるべきである。
 このプレーは気持ちをいれておかないと怪我につうじる。
 それでもなおいく。

 きみのチームメイト、カルロス・パレデスがワールドカップ南米予選、ブラジル戦にでていた。
 カルロス・パレデスのプレーは普段きみがセリエAで目にしているときのものとは明らかにちがっていたぜ。
 がんがん削るし、まえへまえへ攻めていく。
 責任を与えられたものがその責任を全うする。
 その姿勢。
 たしかにカルロス・パレデスはファイトしていた。
 正直驚いた。
 まったくの別人だもの。
 レッジーナのトップはカルロス・パレデスのほうがきみよりも大切な選手だと再認識したはずさ。

 テクニックが問題になるとしたら、万全のときではない。
 調整に時間の割けない、こういった状況や雨、雪の日にためされる。

 きみの課題は、ピッチ上でのテクニックはもちろんだけど、試合にでるためにヘッドコーチを説得するテクニックも大いに磨くべきじゃないのかな。
 もうそろそろ。(4.6.04)





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