岩井不巡 スポーツコラム
スタジアムで会いましょう

  茶野隆行選手が日本代表に選ばれた

 ジェフ市原、茶野隆行選手。

 注目するチームから国家代表選手を輩出するのはうれしいものである。

 ハードマーカーで、ときたまドリブルで攻めあがる。
 パスのフィードには正確さを欠くけれど、タックルは激しく強い。
 プレーの質はクリーンでしかもフェアである。
 黙々と、という言葉がふさわしい。
 イングランドのプレミアシップにでてくるような、静かなファイター。
 わが国では稀有な存在である。

 かれを3バックの左、右で使うよりも、相手フォワードやアタッカンテの封じ手、殺し屋として、起用してみてほしい。
 かれはいままでのDF選手にないものをもっていると感じるからである。

 鹿島アントラーズの本田泰人選手。
 茶野隆行選手は本田泰人選手から、しつこさを割り引いて、そのかわり、攻撃での思い切りのよさ、チャレンジ精神、勇気を倍にした、そんな印象をもつ。

 かれは、
「変ってないョ。」
 というだろう。

 中西永輔選手が移籍し、かれ茶野隆行選手の仕事がふえるのはやむをえまい。
 そのなかでの国家代表選出である。
 けっして偶然ではない。
 そのJEF市原でのプレーがジーコをして認めさせたのである。
 茶野隆行選手ならば、帰属チームでのプレーとかわらない質で実力を発揮するにちがいない。

「選手には2つのタイプがある。鼻高々になる者と、より一層がんばろうとする者と。茶野はその後者である。人を批判したりぜず、懸命に走ってきた選手が選ばれた。」
 イビツァ・オシムヘッドコーチが最大級の賛辞で、かれ茶野隆行を送り出す。

 茶野隆行選手の代表選出が、ジェフ市原の他の選手にあたえる影響こそがいちばん大きい。

 茶野隆行選手のいないジェフ市原の練習はきょうも姉崎グラウンド。
 ますます激しく、きびしさを増してくるにちがいない。(4.21.04)





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